五種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、Hib感染症)

Five types of mixture

五種混合ワクチンとは?予防できる病気・副反応・接種スケジュールを解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

五種混合ワクチンとは

五種混合ワクチンとは、1回の接種で ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ(急性灰白髄炎)、Hib感染症(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型感染症) の5つの病気を予防できるワクチンです。

これまで、日本では三種混合ワクチン(DPT:ジフテリア、百日咳、破傷風)や、不活化ポリオワクチン、Hibワクチンがそれぞれ別々に接種されていました。しかし、五種混合ワクチンが導入されたことにより、複数のワクチンを1つにまとめて接種できるようになり、保護者や子どもの負担が軽減されました。

五種混合ワクチンの特徴

  • 1回の接種で5つの病気を予防
  • 接種回数の削減
  • 安全性(各ワクチンは不活化ワクチンで、安全性が高い)

五種混合ワクチンは、乳幼児期に接種することで命にかかわる感染症を予防し、健康な成長をサポートします。

五種混合ワクチンで予防できる5つの病気

五種混合ワクチンでは、次の5つの感染症を予防することができます。


ジフテリアとは

ジフテリアは、ジフテリア菌が喉や鼻に感染して発症する急性の感染症です。

  • 症状
    発熱や喉の痛み、鼻水が続き、喉に「偽膜」と呼ばれる白い膜ができるのが特徴です。
  • 重症化すると
    気道がふさがり呼吸困難になることがあります。また、毒素が全身に回ると心筋炎や神経麻痺を引き起こすこともあります。
  • 感染経路
    飛沫感染や接触感染によって広がります。

ジフテリアは、かつて多くの子どもたちが命を落とした病気ですが、ワクチン接種の普及により、日本ではほとんど見られなくなっています。

百日咳とは

百日咳は、百日咳菌が気道に感染して発症する病気です。

  • 症状
    初期は風邪に似た症状が続き、次第に激しい咳が出るようになります。咳が長引き、特に夜間にひどくなることが特徴です。
  • 重症化すると
    乳幼児では呼吸が止まる発作や肺炎を引き起こし、命にかかわることもあります。
  • 感染経路
    飛沫感染で広がります。

百日咳は大人でも感染することがありますが、特に免疫が未熟な乳幼児は重症化しやすいため、ワクチンによる予防が非常に重要です。

破傷風とは

破傷風は、土壌や動物の糞に存在する破傷風菌が傷口から体内に入り、毒素を出すことで発症します。

  • 症状
    全身の筋肉が硬直し、口が開かなくなったり(開口障害)、背中が反り返る強直性けいれんが見られます。
  • 重症化すると
    呼吸困難を引き起こし、命にかかわることがあります。
  • 感染経路
    傷口から菌が体内に侵入することで発症します。

破傷風は人から人へは感染しませんが、発症すると重症化しやすく、ワクチン接種による予防が唯一の対策です。

ポリオ(急性灰白髄炎)とは

ポリオは、ポリオウイルスが腸管から体内に入り、神経系に感染して発症する病気です。

  • 症状
    発熱や喉の痛みから始まり、重症化すると筋肉が麻痺し、歩行困難や呼吸困難を引き起こします。
  • 後遺症
    麻痺が残ることがあり、生涯にわたって影響が出る可能性があります。
  • 感染経路
    経口感染(ウイルスが付着した手や食品を口に入れる)で広がります。

ポリオはワクチン接種により世界的に患者数が減少していますが、依然として一部の国で流行しており、予防接種が欠かせません。

Hib感染症(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型感染症)とは

Hib感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型が原因で発症する感染症です。特に乳幼児が発症しやすい病気です。

  • 症状
    中耳炎、肺炎、敗血症などを引き起こし、重症化すると細菌性髄膜炎を発症することがあります。
  • 細菌性髄膜炎
    高熱、嘔吐、けいれん、意識障害などの症状が現れ、後遺症が残ったり、死に至ることもあります。
  • 感染経路
    飛沫感染や接触感染によって広がります。

Hib感染症は重症化すると命にかかわるリスクが高く、ワクチン接種が非常に重要です。

五種混合ワクチンの効果と予防の仕組み

五種混合ワクチンは、病気の原因となる細菌やウイルスを弱毒化または不活化したものを用いています。このワクチンを接種することで、体内に免疫が作られ、感染症を予防します。


免疫の仕組み

ワクチンを接種すると、体内の免疫細胞が異物(細菌やウイルスの成分)を認識し、抗体を作り出します。一度抗体が作られると、次に同じ病原体が体内に侵入した際に迅速に反応して感染を防ぐことができます。

  • ジフテリア、百日咳、破傷風
    トキソイドワクチン(病原体の毒素を無毒化して使用)
  • ポリオ、Hib感染症
    不活化ワクチン(病原体を死滅させて使用)

ワクチン接種の効果

五種混合ワクチンを接種することで、以下の効果が期待できます。

  • 感染の予防
    発症リスクを大幅に低減します。
  • 重症化の防止
    万が一感染した場合でも、重症化や後遺症を防ぐ効果が期待されます。
  • 集団免疫の確保
    多くの人が免疫を持つことで、社会全体で感染拡大を防ぐことができます。

五種混合ワクチンの対象年齢と接種回数

五種混合ワクチンは、生後2か月から接種を開始することが推奨されています。接種スケジュールは以下の通りです。

初回接種

  • 時期
    生後2~7か月に至るまでの期間を標準的な接種期間として20日以上(標準的には20~56日まで)の間隔をおいて3回接種します。
  • 目的
    免疫を獲得し、感染のリスクを早期に防ぐためです。
  • 集団免疫の確保
    多くの人が免疫を持つことで、社会全体で感染拡大を防ぐことができます。

追加接種

  • 時期
    初回接種終了後6か月以上(標準的には6~18か月まで)の間隔をおいて1回接種します。
  • 目的
    獲得した免疫を長期間維持し、強化するためです。
  • 集団免疫の確保
    多くの人が免疫を持つことで、社会全体で感染拡大を防ぐことができます。

接種の重要性

接種スケジュールが遅れると、免疫が不十分になり感染のリスクが高まることがあります。定期接種の時期を逃さないよう、母子手帳や予防接種のスケジュールを確認しましょう。

五種混合ワクチン接種で気をつけたい副反応

五種混合ワクチンは安全性が高いワクチンですが、まれに副反応が起こることがあります。接種後の注意点や副反応について理解しておきましょう。

軽度な副反応

接種後、次のような軽度の症状が現れることがあります。


  • 接種部位の腫れや赤み
    接種した部分が赤く腫れたり、軽い痛みを伴うことがあります。
  • 発熱
    接種後1~2日以内に38℃前後の発熱が見られることがあります。
  • 機嫌が悪い
    赤ちゃんが泣きやすくなる、ぐずることがあります。

これらの症状は通常、数日以内に自然に治まることがほとんどです。体調が悪化する場合は、医療機関を受診しましょう。

重度な副反応(極めてまれ)

ごく稀に、次のような重い副反応が起こることがあります。


  • 接種部位の腫れや赤み
    接種した部分が赤く腫れたり、軽い痛みを伴うことがあります。
  • アナフィラキシー
    強いアレルギー反応で、呼吸困難や発疹、顔の腫れが急激に現れます。
  • けいれん
    発熱に伴ってけいれんが起こることがあります。
  • 高熱
    39℃以上の高熱が続く場合は、医師の診察が必要です。

接種後の注意点

  • 経過観察
    接種後30分程度は医療機関で様子を見て、異変がないか確認します。
  • 自宅でのケア
    接種後は安静にし、激しい運動や入浴は避けましょう。
  • 異変があれば受診
    高熱や発疹、ぐったりしているなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

五種混合ワクチンを接種するメリットとは

五種混合ワクチンは、5つの重い感染症から子どもを守るための非常に効果的な手段です。その主なメリットは以下の通りです。


  • 複数の病気を一度に予防1回の接種で5つの感染症に対する免疫を獲得できるため、子どもへの負担が軽減されます。
  • 重症化や後遺症のリスクを防ぐ
    五種混合ワクチンで予防する病気は、重症化すると命に関わったり、後遺症が残ることがあります。ワクチン接種はそのリスクを大幅に低減します。
  • 予防接種スケジュールが効率的
    複数のワクチンを1つにまとめることで、スケジュール管理がしやすくなり、通院回数が減少します。
  • 社会全体での感染予防
    多くの子どもが免疫を持つことで、集団免疫が確保され、感染拡大を防ぐことができます。

岩間こどもクリニックの予防接種サポート

岩間こどもクリニックでは、五種混合ワクチンの接種を含め、予防接種のスケジュール管理とサポートを行っています。

丁寧な問診と接種前の確認

接種前にお子さまの体調や健康状態を丁寧に確認し、保護者の不安や疑問にもお答えします。

安全な接種の実施

お子さまに負担が少ないよう配慮し、万が一の副反応にも迅速に対応できる体制を整えています。

予防接種スケジュールのサポート

母子手帳に基づいて、他のワクチンとの同時接種や接種時期の管理をサポートします。



五種混合ワクチンの接種を希望される方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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