胸が痛がる

Chest pain

胸を痛がる原因は?子どもの症状と対処法を小児科医が詳しく解説

子どもが胸を痛がる理由

子どもが胸の痛みを訴えると、心臓の病気ではないかと心配になりますが、小児の胸痛の多くは心臓以外の原因によることが多いです。代表的なものとして、気管支喘息、肋軟骨炎、心因性胸痛があります。これらの疾患では、胸痛の原因や特徴、ケアがそれぞれ異なるため、適切な見極めと早期対応が重要です。

子どもが胸の痛みを訴える際の注意点

子どもが胸を痛がるときは、以下のことを注意深く観察しましょう。


  • 痛みの持続時間や頻度、強さを詳しく確認する。
  • 呼吸困難、動悸、めまいなどの症状がないかチェックする。
  • 痛みが起こる状況(運動中、安静時、精神的ストレス時)を観察する。

家庭での適切な対処法

胸の痛みがあるときの基本的な家庭でのケアは以下の通りです。


  • 落ち着いて安静にさせ、深呼吸や休息を促す。
  • 痛みが強い場合は楽な姿勢をとらせる。
  • 呼吸が苦しそうであれば、衣服をゆるめ、静かな環境で休ませる。
  • 痛みが頻繁に起こったり、強い痛みが続く場合は医療機関を受診する。

胸を痛がる症状を伴う代表的な疾患と特徴

  • 気管支喘息の特徴と原因
    気管支喘息は気道が慢性的に炎症を起こし、狭くなる疾患です。呼吸が苦しくなり、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴を伴います。咳が続くことで胸の痛みを感じることがあり、特に運動時や夜間・早朝に症状が強くなることが特徴です。発作止めや吸入薬など適切な薬物治療が重要で、日常生活での環境整備も再発予防につながります。
  • 肋軟骨炎の特徴と原因
    肋軟骨炎は肋骨と胸骨をつなぐ軟骨部に炎症が起きる病気で、子どもにも多くみられます。深呼吸や咳、くしゃみをすると痛みが強まり、胸部を押すと特に痛がるのが特徴です。原因は不明なことも多く、ウイルス感染や軽微な外傷がきっかけになることもあります。安静にして経過を観察することが基本的な治療で、自然に改善することがほとんどです。
  • 心因性胸痛の特徴と原因
    心因性胸痛はストレスや精神的な緊張、不安が原因で胸に痛みを感じる疾患です。実際の心臓疾患とは異なり、運動で痛みが強まることは少なく、安静時や学校に行く前など精神的にストレスを感じる場面で症状が強くなる傾向があります。痛みの持続時間が短く、特定の状況でのみ起こることが多いです。心理的なサポートが重要で、周囲の理解や対応が症状改善の鍵となります。

病院を受診する目安と救急車を呼ぶべきケース

以下の場合には早めに病院を受診してください。


  • 病院受診の目安
    ・胸の痛みが頻繁に繰り返し起こる場合
    ・胸痛とともに呼吸困難や動悸がある場合
    ・痛みのために日常生活や学校生活に支障をきたしている場合
  • 救急車を呼ぶべきケース
    ・突然の強い胸痛でぐったりしている、顔色が悪い、嘔吐を合併する場合
    ・胸の痛みとともに意識障害や呼吸困難がある場合
    ・症状が急激に悪化し、緊急性が高いと判断される場合

症状が改善した後の家庭でのケアと過ごし方

症状が改善した後も、規則正しい生活習慣やストレスの少ない環境を心がけましょう。喘息の場合は定期的な薬物治療の継続や環境の整備、心因性胸痛では心のケアやリラックスできる時間の確保が大切です。

再発を防ぐための日常生活の注意点

胸痛の再発予防には以下を心がけましょう。


  • 規則正しい生活習慣と十分な睡眠をとる。
  • 喘息の場合はアレルゲンを避け、室内環境を整える。
  • 適度な運動を取り入れ、心身のストレスを軽減する。
  • 症状が頻繁に起こる場合は早期に医療機関で相談する。

よくある質問

子どもの胸痛は心臓病が原因のことが多いですか?
子どもの胸痛は、実際には心臓以外が原因である場合が多く、喘息や肋軟骨炎、心因性のものが主です。
肋軟骨炎はどのくらいで治りますか?
多くの場合、安静にすることで数日~数週間で自然に治ります。
喘息の胸痛を和らげる方法はありますか?
喘息発作の治療薬を早めに使用し、楽な姿勢で休ませると効果的です。
心因性胸痛は治療が必要ですか?
心理的サポートやストレスの軽減が重要で、症状が続く場合は心理療法などの治療が必要です。
胸痛がある時、運動は避けるべきですか?
痛みの原因によりますが、強い痛みや息切れがあるときは運動を避けて休ませることが大切です。
胸の痛みと咳が同時に起きる場合、喘息の可能性が高いですか?
咳と胸痛が伴う場合、喘息の可能性もありますので小児科の受診をお勧めします。
子どもの心因性胸痛を家庭でケアする方法はありますか?
子どもの話をよく聞き、安心感を与え、ストレスを減らす環境を整えることが大切です。
肋軟骨炎の再発予防方法はありますか?
特別な予防法はありませんが、適度な運動や感染予防、生活リズムを整えることが望ましいです。

まとめ

子どもが胸の痛みを訴えたとき、保護者は心臓疾患ではないかと心配になるかもしれませんが、多くの場合は気管支喘息、肋軟骨炎、心因性胸痛といった心臓以外の原因によることが多いです。しかし、これらの疾患も決して軽視できるものではありません。特に気管支喘息は適切な治療をしないと慢性化や重症化を引き起こし、日常生活や成長に影響を与えることがあります。肋軟骨炎は痛みのため運動制限や日常の活動が困難になり、子どもの生活の質を低下させる可能性があります。また、心因性胸痛は心理的な問題が背景にあるため、放置すると子どもの精神的ストレスや不安が増し、心身の健康に影響を与える恐れがあります。

これらの症状に対しては、保護者が日頃からお子さまの体調や行動を注意深く観察し、胸痛が繰り返される、痛みが強い、呼吸困難や動悸を伴うといった異常を感じた場合は、早期に医療機関を受診して適切な診断を受けることが重要です。

岩間こどもクリニックでは、お子さまの胸痛に対し、それぞれの原因を的確に診断し、症状に応じた丁寧な治療や家庭での適切なケア方法を詳しく指導しています。また、再発予防のために日常生活の環境改善や精神的なケアについても具体的にアドバイスを行い、安心して過ごせるようにしっかりとサポートいたします。

お子さまが健康で快適な日常を取り戻すためには、早期対応が非常に重要です。胸痛に関する不安や気になる症状がありましたら、ぜひお気軽に岩間こどもクリニックへご相談ください。私たちはご家族と一緒にお子さまの健康を全力で支えてまいります。

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