便秘又は下痢をしがち

Constipation diarrhea

便秘又は下痢をしがちな原因は?子どもに多い疾患とケア方法を小児科医が詳しく解説説

便秘又は下痢が起こりやすい理由

子どもは消化器官が未熟で敏感なため、便秘や下痢などの消化器のトラブルを起こしやすい傾向があります。特に乳幼児期は食生活の変化やストレス、体調の変動に敏感であり、便通のトラブルが頻繁に見られます。慢性化すると子どもの成長や発育に影響を及ぼすため、早期の適切な対応が必要です。

子どもが便秘又は下痢をした際の注意点

便秘又は下痢が続く場合は、以下の点に注意してください。


  • 便の性状や回数を記録し、病院受診時に医師に詳しく伝える。
  • 症状に伴い、腹痛や嘔吐、血便などがないかよく観察する。
  • 症状が悪化する、改善しない場合は早めに医療機関を受診する。

子どもの便秘又は下痢の家庭での対処法

家庭での基本的な対処法は以下の通りです。


  • 便秘の場合は、水分や食物繊維が豊富な食品を摂取させ、適度な運動を促す。
  • 下痢の場合は、水分補給をこまめに行い、消化に良い食事を少量ずつ与える。
  • 腹部を温めたり、優しくマッサージすることで症状が和らぐこともあります。
  • 症状が強い場合は自己判断せず早めに受診しましょう。

便秘又は下痢を起こす代表的な疾患とその特徴

  • 便秘症の特徴と原因
    便秘症は、便が硬くなり排便が困難になる疾患です。水分や食物繊維の不足、運動不足、ストレスなどが主な原因であり、慢性化すると腹痛や食欲低下を引き起こします。長期化すると腸の機能低下や排便習慣の乱れが生じるため、早期からの生活習慣の見直しが必要です。
  • 乳糖不耐症の特徴と原因
    乳糖不耐症は、乳製品に含まれる乳糖を消化する酵素(ラクターゼ)が不足し、乳糖が消化されずに下痢や腹痛を引き起こす疾患です。牛乳を飲んだ後に下痢を繰り返す、腹部がゴロゴロと鳴るなどの症状が特徴的です。乳糖を含まない食品への切り替えや乳糖分解酵素の利用が必要になる場合があります。
  • 食物アレルギーの特徴と原因
    食物アレルギーは特定の食物に含まれるタンパク質に対して過剰な免疫反応が起きる疾患です。症状は皮膚症状(じんましんやかゆみ)だけでなく、消化器症状(下痢や嘔吐、腹痛)もよく見られます。症状が重い場合はアナフィラキシーと呼ばれる命に関わる反応が起こることもあり、原因食物を避ける必要があります。

病院を受診する目安と救急車を呼ぶべきケース

以下の場合には早めに病院を受診してください。


  • 病院受診の目安
    ・便秘又は下痢が1週間以上続く場合
    ・血便や粘液便、嘔吐、発熱を伴う場合
    ・腹痛が強く、日常生活に影響が出る場合
  • 救急車を呼ぶべきケース
    ・激しい腹痛や意識障害、ぐったりした状態がある場合
    ・血便が見られる場合
    ・呼吸困難や顔色が悪く緊急性が高いと判断される場合

症状が落ち着いた後の家庭でのケアと過ごし方

症状が改善した後も食事や生活習慣に気をつけ、再発を防ぎましょう。便秘の場合は、適切な水分・食物繊維摂取を継続し、下痢の場合は消化が良い胃腸に優しい食事を摂りましょう。

再発を防ぐための日常生活の注意点

便秘又は下痢の再発を予防するため、以下の注意を心がけてください。


  • 規則正しい食生活を整える(栄養バランス、水分摂取、食物繊維の摂取)
  • 日常的に適度な運動や体を動かす時間を設ける
  • 食物アレルギーや乳糖不耐症がある場合、原因食品を避けることを徹底する
  • 腸内環境を整える食品(ヨーグルトや乳酸菌飲料など)を適度に摂取する

よくある質問

子どもの便秘はいつから医師に相談すべきですか?
1週間以上便が出ない、または排便時に痛がる場合は早めに受診してください。
乳糖不耐症は治りますか?
年齢とともに改善する場合もありますが、体質により継続的な対応が必要な場合もあります。
食物アレルギーの検査は痛みがありますか?
一般的には血液検査で行われるため、採血時の軽度な痛みのみです。
下痢の時に食べてはいけない食品は?
脂肪分の多い食物や刺激の強い食品、生ものは控えましょう。
便秘薬を子どもに与えても大丈夫ですか?
医師の指示に従って使用すれば安全ですが、自己判断での使用は避けましょう。
乳糖不耐症の子どもでも牛乳以外の乳製品は摂れますか?
チーズやヨーグルトなど乳糖が少ない乳製品は摂取可能な場合があります。
便秘改善におすすめの食品は?
野菜、果物、豆類など食物繊維が多く含まれる食品がおすすめです。
食物アレルギーは成長すると治りますか?
年齢とともに改善することが多いですが、専門医との定期的な診察が必要です

まとめ

子どもの便秘や下痢は日常的によく見られる症状ですが、慢性化すると不快感にとどまらず、子どもの成長や発達、生活の質に大きく影響を与えることがあります。便秘が続くと食欲不振や腹痛、排便時の痛みから排便自体を怖がり、便秘がさらに悪化する悪循環を引き起こします。一方、下痢が頻繁に起こると脱水症状や栄養吸収の障害が起こり、成長に必要な栄養が十分摂れなくなる恐れもあります。

特に便秘症、乳糖不耐症、食物アレルギーなどの疾患が隠れている場合、早期に原因を特定して適切な治療や生活習慣の改善を行うことが重要です。便秘症の場合は食物繊維や水分の摂取、規則的な運動が効果的であり、乳糖不耐症や食物アレルギーでは原因となる食材を特定して避けることで、症状の改善や再発防止につながります。

岩間こどもクリニックでは、お子さま一人ひとりの症状を丁寧に診察し、具体的な疾患や原因をしっかりと特定した上で、ご家庭での食事管理や生活習慣の改善方法をわかりやすくご説明しています。また、ご家族が安心して対応できるよう、日常的なケアの指導や緊急時の対処法についてもサポートいたします。

子どもの便秘や下痢は、症状が軽いうちにしっかりと対応することで、慢性化や合併症を防ぐことができます。少しでも気になる症状があれば早めにご相談ください。私たち岩間こどもクリニックが、ご家族とともにお子さまの健康と健やかな成長を全力で支えてまいります。

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