おむつかぶれ

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赤ちゃんのおむつかぶれ|原因・対策・家庭でできるケアを徹底解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

おむつかぶれとは

おむつかぶれとは、赤ちゃんのおむつが当たる部分の皮膚に赤みやかぶれが起こる皮膚トラブルのことです。正式には「おむつ皮膚炎」とも呼ばれます。赤ちゃんの肌は非常にデリケートで、摩擦や湿気、排泄物の刺激など、さまざまな要因が重なることでおむつかぶれが発症しやすくなります。

  • 対象
    生後数か月から2歳頃までのお子さんに多く見られます
  • 症状
    おむつが当たる部分に赤い発疹やかぶれが現れ、ひどくなると痛みやかゆみを伴うこともあります。
  • おむつかぶれは成長過程で多くの赤ちゃんが経験するものですが、適切なケアを行えば症状を和らげることができます。悪化を防ぐためにも、原因や対処法をしっかりと理解しておくことが大切です。

おむつかぶれの原因と発症メカニズム

おむつかぶれが起こる主な原因は、赤ちゃんの皮膚がデリケートであることと、おむつ内の環境が湿気や刺激物で悪化しやすいことにあります。

  • 排泄物の刺激
    赤ちゃんの尿や便に含まれるアンモニアや消化酵素が皮膚を刺激し、炎症を引き起こします。特に下痢の時は便の回数が増え、肌への刺激が強くなりやすいです。
  • おむつの摩擦
    おむつと皮膚が擦れることで、薄い皮膚が傷つきやすくなります。サイズの合わないおむつを使用することで摩擦が悪化することがあります。
  • 湿気や蒸れ
    おむつ内は排泄物や汗によって湿度が高くなりがちです。湿気がこもることで皮膚のバリア機能が低下し、炎症が起きやすくなります。
  • 皮膚のバリア機能の未熟さ
    赤ちゃんの皮膚は大人の皮膚と比べて薄く、バリア機能が未熟なため外部からの刺激に弱いです。小さな刺激でも炎症を引き起こしやすくなります。
  • おむつやおしりふきの刺激
    おむつやおしりふきの素材、香料、洗剤の残りが刺激となり、おむつかぶれを引き起こすことがあります。敏感肌の赤ちゃんでは特に注意が必要です。

おむつかぶれの主な症状と特徴

おむつかぶれの症状は、皮膚の状態や程度によって異なりますが、一般的には次のような特徴があります。

  • 赤みや発疹
    おむつが当たる部分、特におしり、太ももの付け根、陰部に赤みや細かい発疹が見られます。症状が軽い場合は、赤みだけでかゆみや痛みは少ないことが多いです。
  • 皮膚のただれやジュクジュク感
    症状が悪化すると、皮膚がただれたり、ジュクジュクと湿った状態になります。触ると痛みを感じることがあり、赤ちゃんが不機嫌になったり泣きやすくなることがあります。
  • 小さな傷やかさぶた
    かぶれが進行すると皮膚に小さな傷ができ、かさぶたのようになることもあります。特に排泄物が傷口に触れると、痛みが強くなります。
  • かゆみや不快感
    赤ちゃんはかゆみや不快感から、おむつの部分を触ったり、泣いて訴えることがあります。夜間の眠りが浅くなることも少なくありません。

おむつかぶれが起こりやすい時期と部位

           

この時期はまだ皮膚のバリア機能が未発達であるため、排泄物や湿気の影響を受けやすく、おむつかぶれが起こりやすくなります。

生後2か月から6か月頃

           

この時期はまだ皮膚のバリア機能が未発達であるため、排泄物や湿気の影響を受けやすく、おむつかぶれが起こりやすくなります。

離乳食開始期(生後5か月から12か月頃)

           

離乳食が始まると、便の性質が変化し、腸内環境も整っていないため、便の回数が増えることがあります。これにより、排泄物が皮膚を刺激しておむつかぶれが悪化することが多いです。

下痢が続くとき

           

下痢が続くと排泄物に含まれるアンモニアや消化酵素に接触する時間が増え、皮膚を刺激しやすくなります。おむつ替えの回数が増えることで、摩擦も加わり悪化しやすくなります。

おむつが当たりやすい部位

おむつかぶれは次の部位に現れることが多いです。

  • おしり全体
  • 太ももの付け根
  • 陰部周り
  • おむつのゴムが当たる部分

おむつかぶれと似た症状の病気との違い

おむつかぶれと似た症状を示す病気がいくつかありますが、原因や対処法が異なるため正しい見分けが重要です。

カンジダ性皮膚炎

  • 原因
    真菌(カンジダ菌)が増殖して炎症を引き起こす
  • 症状
    おむつかぶれよりも赤みが強く、皮膚がジュクジュクした状態になることが多い。小さなブツブツが周りに広がるのが特徴です。
  • 対処
    抗真菌薬の使用が必要です。

アトピー性皮膚炎

  • 原因
    アレルギー体質や皮膚のバリア機能の低下が関係する
  • 症状
    おむつの部分だけでなく、首やひじの内側など他の部位にも湿疹が広がります。
  • 対処
    スキンケアやアレルギー管理が必要です。

接触性皮膚炎

  • 原因
    おむつやおしりふき、洗剤の成分に反応することが多い
  • 症状
    おむつが当たる部分に限定され、皮膚が赤くなります。
  • 対処
    原因物質の除去が必要です。

おむつかぶれの予防法|家庭でできるケアのポイント

おむつかぶれを予防するためには、日々のケアが非常に重要です。赤ちゃんのデリケートな肌を守るために、以下のポイントを意識してケアを行いましょう。

1. こまめなおむつ替え

尿や便が出たらすぐに取り替えるようにしましょう。目安としては、1日6〜8回程度の交換が理想です。夜間もできるだけこまめに交換し、肌を清潔に保つことが大切です。

2. おしりを優しく清潔に保つ

おむつを交換する際は、赤ちゃんのおしりを優しく、しっかりと清潔にしましょう。

  • 洗い方
    生後2か月から1歳未満まで
  • おしりふきの選び方
    ぬるま湯で湿らせた柔らかいガーゼやコットンで、汚れ刺激の少ない無香料・無添加のものを選び、こすらずにそっと押さえる
  • 洗い流す
    排便後は、ぬるま湯で洗い流すのも効果的です。シャワーや洗面器を使い、優しく汚れを取り除きます。

3.しっかり乾燥させる

湿気が残ると、かぶれの原因になります。おしりを拭いた後は、しっかりと乾かすことが大切です。自然乾燥させるか、タオルで優しく水分を押さえます。

4. おむつの選び方と使い方

おむつの素材やサイズは、赤ちゃんの肌に合ったものを選ぶことが重要です。

  • サイズ
    小さすぎるおむつは摩擦を引き起こし、大きすぎるおむつは尿や便が漏れやすくなります。赤ちゃんの体型に合ったものを選びましょう。
  • 素材
    通気性の良いおむつを選び、湿気がこもらないようにします。
  • おむつの交換の際
    ゴムがきつくならないように、適度に余裕を持たせておむつを装着します。

5. 保湿ケアを欠かさない

おむつ替え後は、保湿剤を塗って皮膚のバリア機能をサポートしましょう。

  • 保湿剤の選び方
    低刺激で無香料のクリームや軟膏を選びます。
  • 塗り方
    おむつの当たる部分全体に薄く広げ、特に乾燥しやすい部分は丁寧に塗り込みます。

おむつ替えの正しい方法と注意点

おむつ替えの際に気をつけることで、おむつかぶれの予防や悪化防止が期待できます。正しいおむつ替えの手順をll確認しましょう。

1. 感染予防

ワクチン接種によって免疫がつき、ウイルスが体内に侵入しても感染しにくくなります。

  • おむつ
  • おしりふき(ぬるま湯を含ませたコットンでも可)
  • タオルやガーゼ
  • 保湿剤

2.優しくおしりを清潔にする

排便後は、おしり全体を優しく丁寧に拭きます。前から後ろへ向かって拭くのが基本です。特にシワの部分や太ももの付け根も忘れずに清潔にしましょう。

3. 乾燥させる

湿気が残らないように、清潔にした後はしっかりと乾かします。タオルやガーゼで軽く押さえるように拭きましょう。

4. 保湿剤を塗る

おむつの当たる部分に薄く保湿剤を塗り、肌のバリア機能をサポートします。

5. 新しいおむつを装着する

おむつを適切な位置に当て、きつすぎず緩すぎないように装着します。お腹の部分に指が1本入る程度が目安です。

おむつかぶれが悪化する原因と対処法

おむつかぶれが悪化すると、痛みやかゆみが強くなり、赤ちゃんが不機嫌になることがあります。悪化する原因を知り、適切に対処することが大切です。

1. 排泄物の放置

排泄物が長時間皮膚に触れていると、刺激が強くなり炎症が悪化します。こまめなおむつ替えを心がけましょう。

2. 摩擦や圧迫

サイズが合わないおむつやきつい装着は摩擦を引き起こし、皮膚を傷つけてしまいます。赤ちゃんの体型に合ったおむつを使用し、優しく装着します。

3. 不適切なスキンケア

強くこすったり、刺激の強いおしりふきを使用すると皮膚が傷つきやすくなります。肌に優しいケアを心がけましょう。

4. カンジダ菌の感染

おむつかぶれが長引く場合、カンジダ菌(真菌)による二次感染が起きている可能性があります。赤みが強く、小さなブツブツが広がる場合は、早めに医療機関を受診し、抗真菌薬での治療が必要です。

おむつかぶれが治らないときの受診のタイミング

家庭でのケアを行っても症状が改善しない場合や、悪化していると感じる場合は、早めに小児科や皮膚科を受診しましょう。受診の目安としては次のような症状が見られるときです。

  • 赤みが広がっている
  • 皮膚がただれている、ジュクジュクしている
  • 強い痛みやかゆみがあり、赤ちゃんが泣き止まない
  • おむつかぶれ以外の部位にも発疹が広がっている
  • 熱がある場合や、排便の回数が異常に増えている場合

おむつかぶれに適した保湿剤と薬の使い方

おむつかぶれの治療には、症状に合わせて適切な保湿剤や薬を使うことが重要です。医師の指導のもとで正しく使い、赤ちゃんの肌を守りましょう。

1. 保湿剤の種類と選び方

おむつかぶれの予防や軽度の症状には、保湿剤を使用して肌の乾燥を防ぎ、バリア機能を回復させます。

2. 医師が処方する薬

おむつかぶれが悪化している場合や、二次感染が疑われる場合は、医師が薬を処方することがあります。

  • ステロイド外用薬
    炎症を素早く抑える効果があります。医師の指示に従い、短期間使用することがポイントです。
  • 抗真菌薬(抗カンジダ薬)
    カンジダ性皮膚炎が疑われる場合に使用されます。湿疹がジュクジュクしているときや、小さなブツブツが広がっている場合に効果的です。

3. 使用時の注意点

  • 薬や保湿剤は清潔な手で塗り、薄く均等に広げるようにしましょう
  • 強い痛みやかゆみがあり、赤ちゃんが泣き止まない
  • 保湿剤や薬を塗った後は、すぐにおむつを装着せず、少し乾かす時間を取ると効果的です

おむつかぶれを防ぐために選びたいおむつとおしりふき

赤ちゃんの肌を守るためには、日常的に使用するおむつやおしりふきにも気をつける必要があります。

1. おむつの選び方

  • 通気性
    炎症を素早く抑える効果があります。医師の指示に従い、短期間使用することがポイントです。
  • サイズ
    カンジダ性皮膚炎が疑われる場合に使用されます。湿疹がジュクジュクしているときや、小さなブツブツが広がっている場合に効果的です。
  • 素材
    肌触りが柔らかく、低刺激の素材がおすすめです。

2. おしりふきの選び方

  • 無添加・無香料
    アルコールや香料が含まれていないものを選びましょう。
  • 水分量
    水分量が多く、摩擦が少ないおしりふきを選ぶと、肌への刺激を減らせます。
  • 用途
    :おしりふきは汚れを落とす目的に限定し、肌が敏感な場合はぬるま湯で洗い流す方法も有効です。

岩間こどもクリニックのおむつかぶれ診療とサポート

岩間こどもクリニックでは、おむつかぶれに悩む赤ちゃんと保護者の方へ、適切な診療とサポートを提供しています。

1. 丁寧な診察と原因の特定

赤ちゃんの皮膚の状態を丁寧に確認し、かぶれの原因や症状の重さを診断します。
・排泄物の刺激や摩擦、カンジダ菌の感染がないかをチェックします
・必要に応じて検査を行い、他の皮膚疾患との鑑別を行います

2. 適切な薬の処方とケア指導

症状に合わせた薬(保湿剤やステロイド外用薬、抗真菌薬など)を処方し、適切な使い方を丁寧に説明します。おむつ替えのタイミングや方法、保湿剤の塗り方など、日常ケアについても具体的にアドバイスします。

3. 再発予防のアドバイス

おむつかぶれを繰り返さないために、生活環境やおむつ選び、スキンケア方法についてアドバイスを行います。

まとめ

おむつかぶれは多くの赤ちゃんが経験する皮膚トラブルですが、日常的なケアや適切な対処で改善できる症状です。

  • 主な原因
    排泄物の刺激、湿気や摩擦、皮膚の未熟さ
  • 予防法
    こまめなおむつ替え、清潔を保つ、おしりの乾燥、保湿ケア
  • 対処法
    保湿剤や薬の使用、症状が悪化した場合は早めに医療機関を受診する

岩間こどもクリニックでは、赤ちゃんの皮膚状態に合わせた診療とサポートを行い、保護者の不安を軽減します。おむつかぶれにお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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