脂漏性湿疹

Seborrheic_eczema

赤ちゃんから大人まで悩む脂漏性湿疹|原因・対処法・医療機関での治療を詳しく解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

脂漏性湿疹とは

脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)とは、皮脂の分泌が過剰になることで皮膚が炎症を起こし、赤みやかゆみ、皮膚の剥がれ(フケ)を伴う湿疹のことです。乳児と成人のどちらにも発症しますが、体質やホルモンバランス、生活習慣などが影響して起こることが多いとされています。

乳児の脂漏性湿疹は、生後2週間〜3か月頃の赤ちゃんに見られることが多く、皮脂分泌が活発な時期に頭皮や顔に症状が出やすいです。

成人の脂漏性湿疹は、思春期以降に発症し、ホルモンの影響やストレス、生活習慣の乱れが関係して慢性的に続くことがあります。

脂漏性湿疹は見た目の症状が強く、フケや皮膚の剥がれが目立つこともありますが、正しいケアや治療を行うことで症状の改善が期待できます。

脂漏性湿疹の原因と発症メカニズム

脂漏性湿疹が発症する原因は一つではなく、いくつかの要因が複合的に関係しています。特に皮脂分泌とマラセチア菌という真菌(カビ)の関与が重要とされています。

1. 皮脂の過剰分泌

性湿疹の主な原因は、皮脂腺から分泌される皮脂が過剰になることです。

  • 乳児の場合
    母親から受け継いだホルモンの影響で、生後すぐの赤ちゃんは皮脂分泌が活発になります。そのため、頭皮や顔に皮脂がたまりやすく、炎症を引き起こす原因となります。
  • 成人の場合
    思春期以降はホルモンバランスの変化で皮脂分泌が多くなり、ストレスや食生活の乱れが加わることでさらに皮脂が増えることがあります。

2. マラセチア菌の増殖

皮脂が過剰に分泌されると、皮膚に常在しているマラセチア菌(真菌の一種)が増殖しやすくなります。マラセチア菌は皮脂を分解して炎症物質を生み出し、これが皮膚に刺激を与えて赤みやかゆみを引き起こします。

3. 皮膚のバリア機能低下

皮脂が過剰になることで皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激に弱くなります。これにより、炎症が起こりやすくなり、湿疹の悪化につながります。

4. その他の要因

性湿疹の主な原因は、皮脂腺から分泌される皮脂が過剰になることです。

  • ホルモンバランス
    思春期や更年期、妊娠中などホルモンの変化が激しい時期に発症しやすくなります。
  • ストレス
    精神的・身体的ストレスが皮脂分泌を促進し、症状を悪化させることがあります。
  • 食生活の乱れ
    脂質や糖質の過剰摂取は皮脂分泌を増加させる要因になります。
  • 生活環境
    汗や湿気、過度な乾燥も皮膚への刺激となります。

脂漏性湿疹の主な症状と特徴

脂漏性湿疹の症状は、赤みやかゆみ、皮膚の剥がれが特徴で、発症する部位や重症度によって異なります。

1. 赤みを伴う湿疹

皮脂が多く分泌される部位に赤い湿疹が現れ、広がっていくことがあります。

  • 乳児
    頭皮、眉毛、耳の周り、顔(特におでこや頬)
  • 成人
    頭皮、額、鼻の周り、耳の後ろ、胸や背中

2. 皮膚の剥がれ(フケ)

皮膚の表面に皮脂がたまり、それが乾燥すると白っぽい皮膚の剥がれ(フケ)が目立ちます。特に頭皮に症状が出ることが多いです。

3. かゆみやヒリヒリ感

かゆみは軽度なことが多いですが、症状が進むと強いかゆみやヒリヒリとした刺激感が出ることがあります。

4. ジュクジュクした湿疹

症状が悪化すると、皮膚がジュクジュクして黄色いかさぶたができることがあります。この状態になると、細菌感染のリスクが高まるため注意が必要です。

乳児の脂漏性湿疹と大人の脂漏性湿疹の違い

脂漏性湿疹は乳児と成人のどちらにも発症しますが、発症の原因や症状、経過には違いがあります。

1. 乳児の脂漏性湿疹

  • 時期
    生後2週間〜3か月頃に発症しやすい
  • 主な原因
    母親から受け継いだホルモンの影響で皮脂分泌が過剰になる
  • 部位
    頭皮、眉毛、耳の周り、顔(特に頬やおでこ)
  • 特徴
    黄色っぽいかさぶたやフケのような皮膚が目立つが、かゆみは少ない
  • 経過
    生後6か月以降は自然に改善することが多い

2. 成人の脂漏性湿疹

  • 時期
    思春期以降に発症し、慢性的に続くことがある
  • 主な原因
    ホルモンバランスの変化、ストレス、生活習慣、マラセチア菌の増殖
  • 部位
    頭皮、顔(鼻の周り、眉毛、耳の後ろ)、胸や背中
  • 特徴
    赤みやかゆみ、皮膚の剥がれが目立つ。症状が慢性化しやすい
  • 経過
    適切な治療やスキンケアで改善するが、再発しやすい傾向がある

脂漏性湿疹の診断方法と医療機関での治療

脂漏性湿疹は皮膚の見た目や症状から診断されることがほとんどですが、他の皮膚疾患と区別するために専門医の診察が必要です。

1. 診断の流れ

  • 問診
    発症時期や症状の経過、かゆみの有無、生活習慣について確認します。
  • 視診
    患部の状態を観察し、赤みや皮膚の剥がれ、炎症の程度を判断します。
  • 鑑別診断
    似た症状を示す病気(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬など)と区別するため、必要に応じて皮膚の一部を採取して検査を行うこともあります。

2. 医療機関での治療法

症状が軽度の場合は家庭でのスキンケアで改善することが多いですが、症状がひどい場合や慢性化している場合は医療機関での治療が必要です。

  • 抗真菌薬(外用薬)
    マラセチア菌の増殖を抑えるために、抗真菌薬のクリームやローションが処方されます。頭皮の症状には抗真菌シャンプーも効果的です。
  • ステロイド外用薬
    炎症が強い場合はステロイド薬が使用されます。炎症や赤み、かゆみを短期間で鎮める効果があります。使用期間は医師の指示を守り、長期使用は避けるようにします。
  • 保湿剤
    皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を回復させるために保湿剤を併用します。乾燥がひどい場合は軟膏タイプが適しています。
  • ビタミン剤や抗ヒスタミン薬(内服薬)
    かゆみが強い場合や皮膚の炎症が広がっている場合に処方されることがあります。

家庭でできる脂漏性湿疹のケアと対処法

脂漏性湿疹の治療では、家庭での適切なケアが非常に重要です。症状の悪化を防ぎ、再発しにくい肌を保つためのポイントを解説します。

1. 頭皮と顔の正しい洗い方

  • 頭皮ケア
    赤ちゃんの場合は、ベビー用の低刺激シャンプーを使い、手のひらで優しく洗います。無理にかさぶたを剥がさないよう注意しましょう。大人の場合は、抗真菌シャンプーや低刺激のシャンプーを使い、しっかりとすすぎます。
  • 顔のケア
    洗顔はぬるま湯で行い、低刺激の石けんを使って泡で優しく洗いましょう。洗顔後はタオルでこすらず、押さえるように水分を拭き取ります。

2. 保湿ケアを徹底する

皮膚の乾燥は脂漏性湿疹の悪化につながります。入浴や洗顔後は、すぐに保湿剤を塗り、皮膚のバリア機能を回復させましょう。赤ちゃんには低刺激のベビー用保湿剤を使用します。大人はセラミドやヒアルロン酸を含む保湿剤がおすすめです。

3. 食事の見直し

食事内容も皮脂分泌に影響を与えるため、脂肪分や糖分の多い食事を控え、バランスの良い食生活を心がけましょう。

  • 控えるべき食品
    揚げ物、ファストフード、甘いお菓子、アルコール
  • 積極的に摂るべき食品
    野菜や果物、魚(オメガ3脂肪酸が豊富な青魚)、発酵食品(ヨーグルトや納豆)

4. ストレス管理と睡眠の確保

ストレスや睡眠不足はホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させます。十分な睡眠時間を確保し、リラックスできる時間を作りましょう。軽い運動や趣味の時間を取り入れることも効果的です。

5. 清潔な環境を整える

室内の湿度や温度を適切に保ち、皮膚への刺激を減らすことが大切です。

  • 室温は20〜22℃、湿度は50〜60%に保ちましょう。
  • 布団や枕カバーは清潔に保ち、汗をかいた場合はこまめに着替えを行います。

脂漏性湿疹の予防策と生活習慣の改善ポイント

脂漏性湿疹は皮脂分泌や真菌の影響が大きいため、生活習慣を見直すことで予防や再発防止が期待できます。


  • 正しいスキンケア習慣を続ける
    適切な洗顔・頭皮ケアと保湿を毎日継続することで皮膚の状態が安定します。洗いすぎや強くこすることは逆効果となるため注意が必要です。
  • 2. 食事内容の改善
    脂っこい食べ物や糖分を控え、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。野菜や魚、発酵食品を意識して摂取し、腸内環境を整えることも大切です。
  • 3. ストレスケアと生活リズムの改善
    ストレスを軽減するためにリラックスできる時間を確保しましょう。

岩間こどもクリニックの脂漏性湿疹診療とサポート

岩間こどもクリニックでは、脂漏性湿疹の診療とケアを通じて、お子さま一人ひとりの症状に合わせたサポートを提供しています。


  • 丁寧な診察と原因の特定
    症状の状態を丁寧に確認し、必要に応じてアレルギー検査などを行います。
  • 適切な薬の処方とケア指導
    症状に合わせて抗真菌薬やステロイド外用薬を処方し、家庭でのスキンケアについても指導します。
  • 生活習慣のアドバイス
    食事や睡眠、日常のケアについて具体的にアドバイスし、再発予防をサポートします。

まとめ

脂漏性湿疹は、皮脂の過剰分泌やマラセチア菌の増殖が原因で起こる皮膚の炎症です。


  • 主な症状
    赤み、皮膚の剥がれ、かゆみ
  • 対処法
    正しいスキンケア、保湿、生活習慣の見直し
  • 医療機関での治療
    抗真菌薬やステロイド外用薬

岩間こどもクリニックでは、脂漏性湿疹の診療とケアを行い、症状の改善と再発防止をサポートしています。気になる症状がある場合は、早めにご相談ください。

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