BCGワクチン

BCG

BCGワクチンの基礎知識|結核の予防・接種後の経過と注意点を解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

BCGとは

BCGワクチンは、結核(けっかく)を予防するためのワクチンです。BCGとは「Bacille Calmette-Guérin(バシーユ・カルメット・ゲラン)」の略称で、結核菌を弱毒化して作られたワクチンのことです。

BCGワクチンの特徴

  • 目的
    結核に感染するリスクや、重症化(結核性髄膜炎や粟粒結核など)を予防するために接種します。
  • 対象
    乳幼児を対象に定期接種として行われます。
  • 方法
    「スタンプ式接種」と呼ばれる特殊な方法で皮膚にワクチンの付いた針を押しつけて接種します。
  • 歴史
    BCGは1921年に開発され、日本では1951年から定期接種として導入されました。

結核は、かつて多くの命を奪った恐ろしい感染症ですが、BCGワクチンの普及により日本での発症率は大幅に低下しました。しかし、依然として成人や海外からの入国者で結核の発症が続いているため、BCG接種は今も重要な役割を果たしています。

BCGワクチンの役割と予防できる病気

BCGワクチンは主に結核を予防するためのワクチンです。

結核とは何か

           

結核は、結核菌が肺を中心に感染することで起こる病気です。感染してもすぐに発症しないことが多いですが、免疫力が低下すると発症するリスクが高まります。

BCGの役割

  • 結核に感染するリスクを軽減します
  • 特に乳幼児期に重症化しやすい結核性髄膜炎や粟粒結核を防ぎます
  • 集団免疫を確保することで、社会全体で結核の感染拡大を抑えます

予防できる病気

  • 結核性髄膜炎
    結核菌が脳に感染し、髄膜に炎症を引き起こします。命に関わる危険な病気です。
  • 粟粒結核
    結核菌が血流に乗り、全身に広がって発症する重篤な結核です。
  • 肺結核
    肺に感染して炎症を引き起こし、咳や血痰、発熱などの症状が現れます。

乳幼児は免疫力が弱く、感染すると重症化しやすいため、BCG接種による予防が欠かせません。

結核の感染経路と症状について解説

結核は、結核菌が体内に侵入し、主に肺に感染する病気です。

1. 感染経路

結核菌は、感染者が咳やくしゃみをした際に飛び散る飛沫が空気中に拡散され、これを吸い込むことで感染します。


  • 飛沫感染
    感染者の咳やくしゃみによる飛沫が直接体内に入る
  • 空気感染
    空気中に漂う結核菌を吸い込むことで感染

結核菌は非常に感染力が強く、免疫力が低い乳幼児や高齢者は特に注意が必要です。

2. 結核の主な症状

結核は感染してもすぐには発症しないことが多く、潜伏期間が数か月から数年に及ぶこともあります。症状が現れた場合は、次のような兆候が見られます。


  • 長引く咳(2週間以上)
  • 痰や血痰
  • 発熱や倦怠感
  • 体重減少
  • 寝汗

3. 結核の重症化リスク

乳幼児が結核に感染すると、肺結核だけでなく、結核性髄膜炎や粟粒結核などの重篤な状態に進行することがあります。これらの症状は命に関わるため、早期の予防が非常に重要です。

BCG接種の対象年齢とスケジュール

BCGワクチンは、結核感染のリスクを早期に予防するために、乳幼児を対象に接種が行われます。

1. 対象年齢

  • 標準的な接種時期
    生後1歳未満(生後5か月から8か月頃)が推奨されています。
  • 接種が遅れた場合
    1歳未満であれば定期接種として接種可能です。

2. 接種スケジュール

生後5か月から8か月頃に1回接種します。
※他の予防接種とのスケジュール調整が必要な場合は、医師と相談しましょう。

3. 接種の重要性

乳幼児期は免疫が未発達であり、結核に感染すると重症化しやすいため、BCG接種はこの時期に確実に受けることが大切です。

BCG接種の接種方法と特徴(スタンプ接種)

BCGワクチンの接種は、スタンプ式接種と呼ばれる独特の方法で行われます。

1. スタンプ接種とは

BCGワクチンは、専用の針がついた接種器具を使い、皮膚にワクチンをスタンプするように押しつけて接種します。

  • 接種部位
    左上腕(二の腕の外側)
  • 針の跡
    接種後、針の跡が9つずつ合計18個つきます。

2.接種時の注意点

接種部位を清潔に保ち、強くこすらないようにしましょう。 入浴は通常通り可能ですが、接種部位をタオルなどで強くこすらないよう注意します。

BCG接種後に気をつけたい副反応

BCGワクチンは安全性が高く、通常は大きな副反応は見られません。しかし、ごくまれに副反応が起こることがあります。接種後に見られる反応とその対処法について理解しておきましょう。

1. 正常な反応と経過

  • 接種後1~2週間
    接種部位に赤いポツポツが現れます。
  • 接種後3~4週間
    赤みが増し、膿が出ることがありますが、自然にかさぶたになり治ります。
  • 接種後3か月頃
    接種跡が薄い痕になり、目立たなくなります。

これらは正常な反応であり、心配する必要はありません。ただし、過度に触れたり、強くこすらないように注意しましょう。

2. 軽度な副反応

  • 接種部位の腫れや痛み
    数日で自然に治まります。
  • リンパ節の腫れ
    接種後数週間で脇の下や鎖骨周辺のリンパ節が腫れることがあります。通常は自然に治ります。

3. 重度な副反応(まれ)

  • 化膿性リンパ節炎
    リンパ節が大きく腫れ、膿がたまることがあります。
  • 骨炎(こつえん)
    接種後、数か月から数年後に骨に炎症が起こることがあります(発症はごく稀です)。

4. 副反応が疑われる場合の対応

  • 腫れがひどい、膿が大量に出る、痛みが続く場合
    早めに医療機関を受診しましょう。
  • 高熱や元気がない場合
    接種との関連を医師が判断するため、診察を受けてください。

BCG接種が必要な理由|結核の現状とリスク

結核は過去の病気と考えられがちですが、現在でも世界中で感染が続いている病気です。

1. 日本における結核の現状

日本では結核患者数は減少していますが、毎年約1万人以上が発症しています。
特に高齢者や免疫力が低い人、子どもが感染すると重症化しやすく注意が必要です。

2. 乳幼児期の結核リスク

乳幼児は免疫力が未発達なため、結核に感染すると重症化しやすく、結核性髄膜炎や粟粒結核のリスクが高まります。これらの症状は命に関わるため、BCGワクチンでの予防が極めて重要です。

3. 世界的な結核の流行

世界では結核が依然として大きな問題となっており、予防接種が不十分な地域では多くの子どもたちが感染しています。日本国内でも、海外との往来があるため感染リスクがゼロではありません。

BCG接種後の注意点と自宅でのケア

BCG接種後は以下のポイントに注意し、家庭でのケアを行いましょう。

1. 接種部位を清潔に保つ

接種部位を強くこすったり、かさぶたを無理に剥がさないようにします。
入浴は通常通り可能ですが、タオルでこすらず、優しく洗い流す程度にしましょう。

2. 服装に気をつける

服が接種部位に擦れて刺激にならないよう、柔らかい素材の衣服を選びましょう。
通気性を良くし、蒸れないように注意します。

3. 異常な反応に注意する

赤みや腫れがひどい場合や、発熱、元気がないなど異常が見られる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

岩間こどもクリニックのBCG予防接種サポート

岩間こどもクリニックでは、BCGワクチン接種を安心して受けられるよう、丁寧なサポートを提供しています。

1. 接種前のカウンセリング

岩間こどもクリニックでは、BCGワクチン接種を安心して受けられるよう、丁寧なサポートを提供しています。

2. 安全な接種の実施

経験豊富な小児科医とスタッフが、安全に配慮しながら接種を行います。お子さまに負担がかからないよう心がけています。

3. 接種後のフォローアップ

接種後の経過や正常な反応、副反応への対処法についても丁寧に指導いたします。気になることがあればいつでもご相談ください。

4.コッホ現象

BCGを接種した1〜2日後(遅くても7日以内)に、接種部位が赤く腫れてきた場合は、接種前に結核菌に感染していた可能性があります。すぐに接種を受けた医療機関を受診してください。

まとめ

BCGワクチンは、結核感染を予防し、特に乳幼児の重症化を防ぐ重要なワクチンです。

  • 対象年齢
    生後5か月から8か月までに1回接種
  • 接種方法
    スタンプ式接種でワクチンの付いた針を皮膚に押しつけて行います
  • 副反応
    軽度の腫れや赤みが見られることがありますが、症状が強ければ医師の診察を受けましょう

岩間こどもクリニックでは、BCG接種の実施から接種後のサポートまで、保護者の皆さまに安心していただける体制を整えています。お子さまの健康を守るため、ぜひ定期接種をご検討ください。

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