気管支喘息

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気管支喘息とは?症状の見分け方から原因・治療法と家庭でできるケアを小児科医が徹底解説

気管支喘息とは

気管支喘息(ぜんそく)は、気管支が慢性的に炎症を起こし、刺激に対して敏感になることから咳や息苦しさなどの症状を繰り返す病気です。子どもの約10%が喘息を発症するといわれ、近年その数は増加傾向にあります。喘息発作は夜間や早朝に症状が強く現れる傾向があり、適切な管理を行わないと日常生活に大きな影響を与えることもあります。

症状の分類と喘息の種類

気管支喘息は症状の頻度と重症度により以下のように分類されます。


  • 間欠型:年に数回程度の軽い発作
    軽症持続型:月に1回以上、症状が現れる。時に呼吸困難を認めるが、日常生活への障害は少ない
  • 中等症持続型:週に1回以上症状が現れる。時に中・大発作となり日常生活が障害される
    重症持続型:ほぼ毎日症状が現れる。週に1〜2回程度中・大発作となり日常生活が障害される。

さらに、喘息はアレルギー性喘息と非アレルギー性喘息に分けられ、子どもではアレルギー性が多いのが特徴です。

主な原因やメカニズム

子どもの気管支喘息の原因は以下が主なものです。


  • アレルギー物質(ハウスダスト、ダニ、花粉、ペットの毛など)
  • ウイルス感染(風邪、インフルエンザなど)
  • 環境要因(煙草の煙、大気汚染、急激な気温変化など)
  • 運動や激しい遊び(運動誘発性喘息)

これらの刺激により気管支内が炎症を起こし、粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなることで、咳や呼吸困難が起こります。

子どもに見られる症状とサイン

気管支喘息の子どもに現れる主な症状は次の通りです。


  • 夜間や早朝に繰り返す咳
  • 呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴音
  • 胸の苦しさや圧迫感
  • 少しの運動でも出現する息切れ
  • 鼻水やくしゃみ(アレルギー症状を伴う場合)

これらの症状が継続的または繰り返し現れる場合は、喘息を疑い、医師による診察を早めに受けることが重要です。

喘息が子どもに与える影響

喘息が適切に管理されない場合、以下のような影響が現れます。


  • 睡眠障害による学習や成長への影響
  • 運動不足による体力や運動能力の低下
  • 日常生活や外出時の行動制限
  • 精神的ストレスや不安の増加

早期に発見し、医療機関で適切な治療と管理を行うことが子どもの健やかな成長にとって非常に大切です。

診断方法

喘息の診断は以下のように行われます。


  • 詳細な問診(症状の頻度、程度、誘因)
  • 聴診器による胸部の音の確認
  • 呼吸機能検査(ピークフロー測定やスパイロメトリー)
  • アレルギー検査(血液検査や皮膚テスト)

これらの検査を組み合わせて診断を行い、適切な治療方針を決定します。

治療法

喘息の治療には、主に次のような方法があります。


  • 抗アレルギー薬(アレルギーを抑える薬)
  • 吸入ステロイド薬(炎症を抑え、発作を予防する基本治療薬)
  • 短時間作用型気管支拡張薬(発作時の治療薬)
  • 長時間作用型気管支拡張薬(症状を長期的に管理)

年齢や症状の重症度、生活環境に応じて薬を選び、治療を進めていきます。

家庭でのケア方法と予防法

自宅でできる喘息管理のポイントは以下の通りです。


  • 室内を清潔に保つ(ダニ・ハウスダストの除去)
  • ペット飼育の管理(定期的な掃除やブラッシング)
  • 禁煙環境の徹底
  • 加湿器や空気清浄機を使って室内環境を整える
  • 規則正しい生活(睡眠時間の確保、バランスの良い食事)

家庭環境の改善は喘息症状の軽減に大きく役立ちます。

発作が出たときの注意点

喘息症状が出現した際は迅速な対応が必要です。症状が強くなった場合や改善しない場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。発作時に使う薬を常備し、家族全員が対応方法を知っていることが重要です。

気管支喘息に関するFAQ

気管支喘息は何歳くらいまでに発症しますか?
気管支喘息は乳幼児期から小学校低学年までの時期に初めて症状が現れることが多いですが、中学生や高校生になってから発症するケースもあります。早期発見と適切な治療が重要です。
喘息は成長すると治るのですか?
成長とともに気管支が丈夫になり、症状が軽くなる場合もありますが、完全に治るとは限りません。成人になっても喘息症状が継続することもあり、定期的な管理が必要です。
喘息の子どもに運動はさせないほうがよいですか?
喘息の子どもでも適切な管理と治療を行えば、運動はむしろ肺機能の向上に役立ちます。ただし、激しい運動をする前に予防薬を吸入したり、ウォーミングアップを十分行うなどの配慮が必要です。
喘息治療薬の副作用が心配です。どのような副作用がありますか?
喘息の治療薬(特に吸入ステロイド薬)は通常の使用量では大きな副作用は少ないですが、稀に声がれや口腔内カンジダ症(口の中の白いカビ)が生じることがあります。使用後にうがいや口をゆすぐことで予防できます。
喘息発作が起きた場合の家庭での正しい対応を教えてください。
喘息発作が起きた場合、まず子どもを落ち着かせ、上体を起こした状態で発作時の吸入薬(気管支拡張薬)を使用してください。薬を使用しても症状が改善しない場合は救急外来を受診してください。また、急に症状が悪化する場合は救急車を呼んでください。
気候や季節は喘息症状に影響しますか?
はい、気候や季節の変化は喘息症状に大きく影響します。特に春や秋の季節の変わり目や、冬の乾燥した冷たい空気は症状を悪化させることがあります。こうした時期は予防的に薬を使用したり、室内環境を整えたりすることが重要です。
喘息の子どもがインフルエンザワクチンを受けても問題ありませんか?
問題ありません。むしろ喘息の子どもはインフルエンザに感染すると重症化しやすいため、ワクチン接種を積極的に推奨します。接種前に喘息の症状が安定していることを医師と確認してください。
喘息を持つ子どもがペットを飼っても大丈夫ですか?
ペットの毛やフケは喘息症状の悪化要因になることがありお勧めしません。どうしてもペットを飼う場合は定期的なブラッシングや掃除、ペットを寝室に入れないなどの工夫が必要です。

岩間こどもクリニックの治療体制・サポート

当院では喘息の診断・治療に加え、家庭での喘息管理方法についても具体的にアドバイスを提供しています。定期的な診察を通じて症状のコントロールを図り、喘息発作を予防するための総合的なケアを行っています。

子どもたちが元気で笑顔あふれる毎日を送れるように、岩間こどもクリニックが責任を持ってサポートいたします。

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