水ぼうそう(水痘)

chickenpox

水ぼうそう(水痘)の症状・原因・治療法|予防接種と家庭でのケアを詳しく解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

水ぼうそう(水痘)とは

水ぼうそう(水痘)とは、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus:VZV)によって引き起こされる感染症です。主に乳幼児や学童期の子どもに多く見られる病気ですが、大人が感染すると重症化しやすい特徴があります。水ぼうそうは、全身にかゆみを伴う水疱(みずぶくれ)が広がり、発熱を伴うことが一般的です。
かつては「子どもが一度はかかる病気」とされていましたが、現在では予防接種が普及したことで、発症するケースが減少しています。しかし、免疫を持たない人が感染すると、非常に感染力が強いため、家庭や学校、保育園などでの集団感染が起こることもあります。

水ぼうそうの原因ウイルスと感染経路

水ぼうそうの原因は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)です。このウイルスは非常に感染力が強く、感染経路は主に以下の3つです。


  • 空気感染
    水痘ウイルスは空気中を漂い、遠くまで広がることが特徴です。感染者の咳やくしゃみによってウイルスが空気中に拡散し、周囲の人がそれを吸い込むことで感染します。
  • 飛沫感染
    感染者の唾液や鼻水に含まれるウイルスが、咳やくしゃみを通じて飛散し、周囲の人に感染を引き起こします。
  • 接触感染
    感染者の水疱が破れた際に出る液体には大量のウイルスが含まれています。その液体に触れた手で目や口、鼻を触ると感染が成立します。また、タオルやおもちゃ、ドアノブなどを介して感染が広がることもあります。

一度感染すると体内にウイルスが潜伏し、免疫力が低下した際に帯状疱疹として再発することがあるため注意が必要です。

水ぼうそうの主な症状と経過

水ぼうそうの症状は、感染後10〜21日間の潜伏期間を経て現れます。初期症状は軽い風邪のようなもので、以下の経過をたどります。


  • 発疹の出現
    水ぼうそうの最も特徴的な症状は、かゆみを伴う発疹です。最初は顔や頭皮、体幹部に小さな赤い発疹が現れ、それが数時間〜1日で水疱(みずぶくれ)に変わります。水疱は次第に全身に広がり、手足や口の中にも見られることがあります。
  • 発熱
    発疹と同時に38℃前後の発熱が見られることが多いですが、熱が出ない場合もあります。発熱は通常1〜2日程度続き、自然に下がります。
  • 水疱からかさぶたへ
    水疱は2〜3日で破れ、かさぶたへと変わります。かさぶたが完全に乾燥し、自然に剥がれるまでには約1週間かかります。この間は、かゆみが続くため、子どもが水疱を掻きむしらないよう注意が必要です。

水ぼうそうの潜伏期間と感染力が強い時期

水ぼうそうの潜伏期間は、感染後10〜21日(平均14日程度)です。この間は症状が出ないため、感染したことに気づかず、知らないうちに周囲に広げてしまうことがあります。

感染力が強い時期
水ぼうそうの感染力は非常に強く、以下の期間が最も感染しやすいとされています。

「発疹が出る1〜2日前から、水疱がすべてかさぶたになるまでの期間」

この間、感染者と同じ空間にいるだけでウイルスが拡散し、免疫を持たない人に感染が広がるリスクがあります。特に、兄弟姉妹や学校、保育園などでの集団感染が起こりやすいため、発疹が確認されたら速やかに家庭内で隔離し、外出を控えることが重要です。

水ぼうそうの診断方法と医療機関での対応

水ぼうそうの症状は、感染後10〜21日間の潜伏期間を経て現れます。初期症状は軽い風邪のようなもので、以下の経過をたどります。


  • 問診と症状の確認
    医師は、発疹の出現時期やかゆみ、発熱の有無を確認します。また、発疹の広がり方や水疱の形状が水ぼうそう特有のものかを観察します。
  • 視診による確認
    水ぼうそうの発疹は、赤い発疹から水疱、かさぶたへと変化する特徴があります。これらの状態が混在していることが水ぼうそうの診断のポイントです。
  • 合併症の確認
    症状が重い場合や合併症が疑われる場合には、血液検査や皮膚検査を行うこともあります。特に高熱が続く場合や、発疹が化膿している場合は細菌感染のリスクが考えられるため、追加の検査や治療が必要になることがあります。

水ぼうそうの治療法と家庭でのケア方法

水ぼうそうの治療は症状を軽減する対症療法が中心ですが、症状に応じて抗ウイルス薬が処方されることがあります。かゆみや発熱など子どもが辛い症状に対しては、家庭でのケアが非常に重要になります。

1. 医療機関での治療

水ぼうそうと診断された場合、医師は症状に合わせた治療法を指導します。


  • かゆみ止め
    かゆみを抑えるため、抗ヒスタミン薬や軟膏が処方されます。かゆみが強い場合には、皮膚の状態に応じた塗り薬を使用します。
  • 解熱剤
    発熱が続く場合、医師が安全な解熱剤(アセトアミノフェンなど)を処方します。ただし、アスピリンはライ症候群という重い合併症を引き起こす可能性があるため水ぼうそうには禁忌です。
  • 抗ウイルス薬
    症状に応じて、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)が処方されることもあります。

2. 家庭でのケア方法

家庭でのケアでは、子どもができるだけ快適に過ごせる環境を整えることが大切です。

かゆみ対策

  • 爪を短く切り、清潔に保つ
  • かゆみを和らげるために、患部に冷たいタオルを当てる
  • 症状がひどい場合は、医師から処方されたかゆみ止めの薬を使用する

発熱時の対応

発熱がある場合は、無理に解熱させる必要はありませんが、高熱で辛そうなときは適切な解熱剤を使います。水分補給を忘れずに行い、薄着で体温調整をするようにしましょう。

皮膚を清潔に保つ

  • シャワーは短時間で優しく浴びるようにし、刺激の少ない石けんを使います
  • タオルでゴシゴシこするのは避け、柔らかい布で水分を拭き取るようにしましょう
  • 皮膚が乾燥しないように保湿ケアも効果的です

水分補給と食事

口の中にも水疱ができることがあるため、痛みが強い場合は、刺激の少ない食事を心がけます。

  • 冷たいもの(プリン、アイスクリーム、ヨーグルトなど)が喉越しが良くおすすめです
  • 水分補給はこまめに行い、経口補水液やイオン飲料を活用するのも効果的です

水ぼうそうが重症化した場合の合併症と注意点

           

水ぼうそうは通常、自然に回復しますが、免疫力が低下している場合や適切なケアが行われないと合併症を引き起こすことがあります。

主な合併症

  • 細菌感染症
    水疱を掻きむしることで傷口から細菌が入り込み、皮膚が化膿することがあります。赤みや腫れ、膿が見られた場合は、細菌感染が疑われるため医師の診察が必要です。>水疱を掻きむしることで傷口から細菌が入り込み、皮膚が化膿することがあります。赤みや腫れ、膿が見られた場合は、細菌感染が疑われるため医師の診察が必要です。
  • 肺炎
    成人や免疫力の低い子どもでは、肺炎を併発することがあります。咳や息苦しさ、胸の痛みが見られた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
  • 脳炎
    まれに水ぼうそうのウイルスが脳に広がり、脳炎を引き起こすことがあります。高熱や意識の混濁、けいれんなどが見られる場合は、早急に対応が必要です。
  • ライ症候群
    解熱剤としてアスピリンを使用した場合に起こる重篤な病態で、脳や肝臓に障害を引き起こします。発症を防ぐためにも、医師の指示のない薬の使用は避けましょう。

注意すべき症状

以下のような症状が見られた場合は、重症化のサインの可能性がありますので、速やかに医療機関を受診してください。

  • 高熱が3日以上続く
  • 水疱が化膿して腫れや痛みが強くなる
  • 嘔吐や頭痛、意識がもうろうとする
  • 息苦しさや呼吸が早い

水ぼうそうと似た症状を持つ病気との違い

水ぼうそうは特徴的な水疱が現れる病気ですが、他の病気でも似たような発疹や症状が現れることがあります。以下は、区別が必要な病気です。


  • 手足口病手足口病では、発疹が手のひらや足の裏、口の中に集中する点が特徴です。一方、水ぼうそうは全身に水疱が広がります。
  • 風疹
    風疹では、発疹は細かく、全身に広がりますが、水疱にはなりません。また、リンパ節の腫れが見られることが多いです。
  • 蕁麻疹
    蕁麻疹では、かゆみを伴う発疹が一時的に現れますが、水ぼうそうのような水疱はできず、短時間で消失することが特徴です。
  • 帯状疱疹
    帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスが原因ですが、症状は異なります。帯状疱疹では、体の片側に沿って水疱が帯状に現れ、強い痛みを伴うことがあります。

水ぼうそうの予防接種の重要性と接種時期

           

水ぼうそうは、予防接種によって効果的に予防することができます。水痘ワクチンは、日本では定期接種として導入されており、感染拡大の防止や重症化のリスクを大幅に低減します。

1.予防接種の重要性

予防接種を受けることで、以下の効果が期待できます。

  • 発症を予防する水ぼうそうに感染するリスクを大幅に減少させます。
  • 重症化を防ぐ
    万が一感染しても、軽症で済むことがほとんどです。発疹の数が少なく、高熱や合併症を起こす可能性が低くなります。
  • 集団感染の防止
    保育園や学校など集団生活を送る場での感染拡大を防ぐことができます。

2. 接種時期と回数

水ぼうそうワクチンの接種は、生後12か月〜36か月の間に2回行うことが推奨されています。

  • 1回目
    生後12か月〜15か月
  • 2回目
    1回目の接種から6か月〜12ヶ月の間隔を空ける

2回接種することで免疫をより確実に獲得でき、効果が長期間持続します。また、大人になってから水ぼうそうにかかると重症化しやすいため、接種していない場合は成人でも予防接種を検討することが大切です。

3. 接種を受けられない場合の注意

中や免疫が低下している場合は、水痘ワクチンを接種できないことがあります。感染を防ぐためにも、周囲の家族が予防接種を受けることで感染リスクを軽減することが重要です。

大人が水ぼうそうにかかった場合のリスクと対処法

           

水ぼうそうは子どもの病気として知られていますが、大人が感染すると症状が重くなる傾向があります。免疫を持たないまま成人期に感染すると、高熱や広範囲の水疱が現れ、合併症のリスクも高まります。

大人の水ぼうそうの症状

大人の水ぼうそうは、子どもと比べて症状が激しく現れることが多いです。

  • 高熱39℃以上の発熱が数日間続くことがあります。
  • 多量の水疱
    水疱が全身に広がりやすく、痛みやかゆみも強くなります。
  • 倦怠感や頭痛
    強い全身のだるさや頭痛が続くことがあります。

大人の水ぼうそうで注意すべき合併症

  • 肺炎大人が水ぼうそうにかかると、ウイルスが肺に影響を与えて肺炎を引き起こすことがあります。咳や息苦しさが続く場合は要注意です。
  • 脳炎
    高熱が続くと、まれに脳炎を合併することがあります。意識がもうろうとする、けいれんが起きる場合はすぐに受診しましょう。
  • 帯状疱疹のリスク
    水ぼうそうを発症するとウイルスが神経に潜伏し、大人になって免疫力が低下したときに帯状疱疹として再発することがあります。

大人の水ぼうそうの対処法

大人の場合は、重症化を防ぐためにも早めの医療機関受診が必要です。発症初期には抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル)が処方されることが多く、ウイルスの増殖を抑えることで症状を軽減する効果があります。

また、家庭では発熱やかゆみに対するケアをしっかり行い、安静に過ごすことが大切です。大人が水ぼうそうに感染しないよう、予防接種の確認も忘れないようにしましょう。

水ぼうそうと帯状疱疹の関係について解説

           

水ぼうそうと帯状疱疹は、同じ水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因です。水ぼうそうが治った後もウイルスは体内の神経節に潜伏し、免疫力が低下した際に再び活動を始めることがあります。これが帯状疱疹として現れる原因です。

1.帯状疱疹の症状

帯状疱疹では、体の片側に沿って水疱が帯状に広がり、強い痛みを伴うことがあります。特に高齢者やストレスの多い人、免疫力が低下している人が発症しやすいです。

2. 帯状疱疹の予防策

帯状疱疹を予防するためには、子どもの頃に水ぼうそうの予防接種を受けることが重要です。また、50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンが推奨されています。

水ぼうそうにかかったときの食事とスキンケアのポイント

           

水ぼうそうにかかると、皮膚のかゆみや痛み、口の中の水疱による食欲不振が起こりやすくなります。家庭での食事やスキンケアの工夫で症状を和らげ、回復を助けましょう。

食事のポイント

水ぼうそうでは、口の中にも水疱ができることがあり、食べ物が刺激になることがあります。

  • 刺激の少ない食事おかゆ、うどん、スープ、ヨーグルト、プリンなど、柔らかくて喉越しの良いものを選びます。
  • 冷たいもの
    冷たいアイスやゼリーは口の中の痛みを軽減し、食べやすいことがあります。
  • 栄養バランスを意識
    ビタミンや水分をしっかり摂取することで、回復を助けます。

スキンケアのポイント

皮膚を清潔に保ち、感染や傷跡を防ぎます。

  • 入浴
    シャワーで優しく洗い、石けんは刺激の少ないものを使用します。
  • かゆみ対策
    皮膚を掻きむしらないように冷やすなどの工夫をしましょう。
  • 保湿
    かさぶたになった部分は乾燥しやすいため、保湿剤を塗ることで皮膚の回復を助けます。

学校や保育園に通う際の登校・登園の目安

           

水ぼうそうは感染力が非常に強いため、学校や保育園では集団感染を防ぐための対応が求められます。症状が治まった後でも、しばらくの間は感染力が残るため、登園や登校のタイミングには注意が必要です。

登園・登校の基準

学校保健安全法では、水ぼうそうは「第二種感染症」に分類されており、発疹がすべてかさぶたになった後に登園・登校が許可されると定められています。

  • 発疹がかさぶたになるまでには、通常7〜10日程度かかります
  • かさぶたになると感染力はなくなるため、登園や登校が可能となります

症状が軽くなったように見えても、すべての発疹がかさぶたになる前に登園・登校してしまうと、他の子どもへの感染リスクが高まります。保護者は医師の指示に従い、症状が完全に落ち着くまで外出を控えさせることが重要です。

学校や保育園での注意点

登園・登校再開後も、以下の点に注意しましょう。

  • 学校や保育園に再登園する際は、登園許可証が必要な場合がありますので事前に確認しておきましょう
  • かゆみやかさぶたが気になる時期なので、爪を短く切り、清潔に保つよう指導します
  • 感染予防のため、手洗いやタオルの共有を避けるなど、衛生管理を徹底しましょう

よくある質問と回答

水ぼうそうについて、保護者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。


水ぼうそうは一度かかればもう感染しないのですか?
水ぼうそうに一度かかると、多くの場合は終生免疫が得られるため、再び水ぼうそうにかかることは少ないです。しかし、ウイルスは神経節に潜伏し続けるため、免疫力が低下すると帯状疱疹として再発することがあります。
水ぼうそうの発疹を掻きむしると跡が残りますか?
はい、発疹を掻きむしると水疱が破れ、細菌感染を起こしてしまうことがあります。その結果、傷跡が残ることがあるため、掻きむしらないよう注意が必要です。かゆみが強い場合は、医師の処方したかゆみ止めを使用しましょう。
兄弟姉妹に感染する可能性は高いですか?
水ぼうそうは非常に感染力が強いため、同じ家庭内では感染が広がりやすいです。免疫がない兄弟姉妹は特に注意が必要で、発症が確認されたらタオルや衣類を共有しないよう心がけましょう。また、予防接種を受けていない場合は、早めに接種を検討することをおすすめします。
妊婦が水ぼうそうに感染すると危険ですか?
妊婦が水ぼうそうに感染すると、胎児に影響を及ぼすリスクがあります。妊娠初期では先天性水痘症候群のリスクがあり、出産直前に感染した場合は新生児に水ぼうそうがうつる可能性があります。妊娠を希望する場合、事前に予防接種を受けることが推奨されます。

岩間こどもクリニックの日本脳炎ワクチン接種サポート

岩間こどもクリニックでは、水ぼうそうの診療および予防サポートを行っています。早期の診断と適切なケアを提供し、安心してお子さまが回復できるようサポートいたします。

1. 迅速な診断と治療

水ぼうそうは、発疹や症状の観察により迅速に診断を行います。症状に応じて、かゆみ止めや解熱剤の処方、必要に応じて抗ウイルス薬の治療を行います。

2. ご家庭でのケア指導

ご家庭での過ごし方や食事、皮膚のケアについて丁寧にアドバイスいたします。特に、発疹を掻きむしらないような工夫や、脱水症状を防ぐための水分補給について指導します。

3. 予防接種の実施

水痘ワクチンの接種を通じて、発症予防および重症化を防ぐサポートを行っています。接種時期やスケジュールについてもお気軽にご相談ください。

4. 感染予防対策

院内では感染拡大を防ぐため、診療スペースの消毒や感染症対策を徹底しております。感染が疑われるお子さまを対象に、他の患者さまと分けて診療を行う配慮も行なっています。

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