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子どもが「けいれん」を起こしたときの原因と正しい対処法を小児科医が解説

けいれんとは?子どもに多く見られる理由

けいれんとは、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することにより、身体が急に震えたり、硬直したりする症状を指します。全身または一部の筋肉が勝手に収縮し、意識が低下する、唇や顔色が青ざめるなどの症状が見られます。

子どもは成人に比べて脳が未成熟であるため、熱や外部刺激などの影響を受けやすく、けいれんを起こすことが比較的多くあります。特に乳幼児期には急激な発熱が引き金となってけいれんを起こす「熱性けいれん」が多く見られます。

子どもがけいれんを起こした際の注意点

子どもがけいれんを起こすと保護者は非常に動揺してしまいがちですが、以下のことを必ず守るよう注意しましょう。


  • 子どもを激しく揺さぶらない。
  • けいれん中の口の中に無理に指や物を入れない(口内から出血して窒息の危険があります)。
  • 周囲にある危険なものを取り除き、安全を確保する。
  • 可能なら発作の様子を携帯電話で撮影し、医療機関受診時に役立てる。

子どもがけいれんを起こした際の対処法

実際にけいれんが起きた際には以下の手順で対応しましょう。


  • 落ち着いて子どもを安全な場所に寝かせる。
  • 吐物があった場合に備え、顔を横向きにして気道を確保する。
  • 頭や身体を保護するため、柔らかい布やクッションを置く。
  • 熱が高い場合は、濡れタオルなどを使って体を冷やす。
  • 発作が5分以上続く場合や、繰り返し起きる場合は救急車を呼ぶ。

けいれんを起こす代表的な疾患

  • 熱性けいれんの特徴と原因
    熱性けいれんは、主に生後6ヶ月から6歳くらいまでの子どもに多く見られる症状です。高熱が急激に出た際に発症し、多くの場合数分以内に収まります。脳の未成熟性が原因とされ、成長とともに自然に改善するケースがほとんどです。
  • 無熱性けいれんの特徴と原因
    無熱性けいれんは、発熱を伴わずに突然けいれんを起こす症状です。原因はてんかん、脳腫瘍、脳炎、脳出血などの器質的疾患の他、血糖値異常や電解質異常などの代謝異常が考えられます。原因の特定には医療機関での詳しい検査が必要です。
  • てんかんの特徴と原因
    てんかんは、脳内の神経細胞が過剰に活動することで繰り返し起こるけいれん発作を特徴とする慢性的な疾患です。原因は脳の損傷、感染症、先天的な脳の異常、遺伝的要素などがあり、脳波検査やMRI検査を通じて診断が行われます。多くの場合、薬物療法で発作をコントロールできます。

病院を受診する目安と救急車を呼ぶべきケース

以下の場合には早めに病院を受診してください。


  • 病院受診の目安
    ・発作が初めて起きた場合
    ・発作後も意識が戻らない、ぼんやりしている
    ・短期間で繰り返し発作を起こす
    ・けいれん後に激しい頭痛や嘔吐が見られる
  • 救急車を呼ぶべきケース
    ・発作が5分以上続いている
    ・呼吸が困難で唇や顔色が青白くなっている
    ・意識が完全に戻らない、呼びかけに反応がない
    ・短時間で何度も発作を繰り返す

症状が改善した後の家庭でのケアと過ごし方

けいれんの発作が落ち着いた後は、子どもは体力を消耗し疲れていることが多いため、静かな環境で安静を保ち、ゆっくりと休ませることが大切です。発熱がある場合は、水分補給をこまめに行い、脱水状態を防ぎましょう。翌日までは激しい活動を避け、症状が完全に回復するまで無理をしないようにしましょう。

再発を防ぐための日常生活の注意点

けいれんの再発防止には、日常生活での配慮が重要です。以下のポイントを心がけましょう。


  • 熱性けいれんを起こした子どもは、発熱した際に早めに対応を行う。
  • 睡眠不足や過度の疲労を避け、規則正しい生活リズムを維持する。
  • 医師から薬を処方されている場合は、忘れずに服用を続ける。
  • 強い光や激しい刺激(長時間のテレビやゲーム視聴)を避ける。

よくある質問

けいれんが一度起きた場合、また繰り返しますか?
熱性けいれんの場合は、一度だけで終わることもありますが、子どもの約30%は再発するとされています。特に最初のけいれんが1歳未満に起きた場合や、家族歴がある場合は再発の可能性が高くなります。無熱性けいれんやてんかんは、けいれんを繰り返すことが多いため、継続した治療や観察が必要です。
けいれんが脳や発達に影響することはありますか?
多くのけいれん、特に短時間の熱性けいれんは脳や発達に後遺症を残すことはほとんどありません。ただし、けいれんが30分以上続くなどの重症なケースや頻繁に繰り返される場合には、発達に影響を与える可能性もあるため、医療機関での診察と経過観察が重要になります。
熱性けいれんを予防する方法はありますか?
熱性けいれんは急激な体温上昇に伴って起こるため、発熱時にはこまめに体温を測り、早めに解熱剤を使用することで発症リスクを減らすことができます。ただし、完全に防ぐことは難しく、特に繰り返す場合は、かかりつけ医と相談し、予防薬の使用を検討することもあります。
子どもがけいれんを起こした後、すぐに病院に行く必要はありますか?
初めてのけいれん発作の場合は、念のため早めに医療機関を受診することをおすすめします。特に発作が5分以上続いたり、何度も繰り返したり、けいれん後に意識がはっきり戻らない場合は速やかに病院へ向かうか、救急車を呼びましょう。
けいれん中に舌を噛まないよう、口の中に指や物を入れる必要がありますか?
けいれん発作の際に舌を噛んでしまうことを心配して、口の中に指やスプーンなどを入れる方がいますが、これは非常に危険な行為です。口の中に物を入れると、窒息や口腔内のけがの原因となる可能性があります。けいれん中は無理に口を開けさせることはせず、顔を横へ向け、身体を安全に保護しながら発作が収まるのを見守りましょう。
子どもがけいれんを起こした後、幼稚園や学校は休ませるべきでしょうか?
発作が収まった後、子どもが元気に活動できる状態であれば特に休む必要はありません。ただし、発熱や体調が元に戻らない場合は無理をさせず、自宅で安静に過ごさせるようにしましょう。
てんかんの治療薬を飲み始めると一生飲み続けることになりますか?
てんかんの薬は、発作を抑えるために継続的に飲む必要がありますが、一定期間(数年間)発作が完全にコントロールされれば、医師の判断のもと段階的に薬を減らし、最終的には薬を止められることも多くあります。個々の症状や状態により異なりますので、主治医とよく相談しましょう。

まとめ

けいれんは子どもに比較的よく見られる症状ですが、適切な対処が行われればほとんどのケースで深刻な問題にはなりません。しかし、中には重大な疾患が隠れている場合もあるため、症状が頻繁に起きる場合や長引く場合には早期の医療機関受診が重要です。

また、日常的な予防として、子どもの生活環境を整え、体調の変化を早めに察知して適切な対応をすることが、再発防止のために大切です。

岩間こどもクリニックでは、けいれんを含めた子どもの症状に対して丁寧な診察・治療を行っています。気になる症状があれば早めにご相談ください。子どもたちの健康をしっかりとサポートいたします。

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