せき

cough

せき(咳)とは?子どもに多い原因と疾患・家庭でのケアを小児科医が詳しく解説

せき(咳)とは?子どもに多く見られる理由

せきとは、気道に入った異物や粘液を排出するための体の防御反応です。子どもは気道が細く敏感なため、感染症やアレルギーなどの影響を受けやすく、頻繁にせきをします。特に幼児期は、免疫系の未熟さや気道の狭さからせきが慢性化しやすく、重症化することもあります。

子どもがせきをする際の注意点

子どもがせきをしている場合は以下の点に注意しましょう。


  • 激しいせきや夜間のせきが続く場合は早めに医療機関を受診する。
  • せき以外に発熱、呼吸困難、ぐったりしているなどの症状がないか観察する。
  • 部屋の乾燥を避け、適切な湿度(50〜60%)を保つ。

子どもがせきをしている際の家庭での対処法

せきの症状を和らげる家庭での対処法は以下の通りです。


  • 水分補給をこまめに行い、喉の潤いを保つ。
  • 室内の湿度を適切に保つため加湿器を使用する。
  • せきが強い場合は上体を少し起こして楽な姿勢で休ませる。
  • 就寝時には背中や胸に温かいタオルを当てることで症状が緩和する場合があります。

せきを起こす代表的な疾患

  • 肺炎の特徴と原因
    肺炎は肺に炎症が起こる病気で、細菌やウイルスが原因です。子どもでは高熱、激しいせき、息苦しさが特徴的です。症状が悪化すると入院治療が必要になる場合があります。特に乳幼児や基礎疾患のある子どもは重症化しやすく、早期受診が重要です。
  • クループの特徴と原因
    クループは主にウイルス感染によって喉が腫れて狭くなり、特徴的な犬の吠えるような咳が出る病気です。夜間に急に症状が悪化し、呼吸が苦しくなることがあります。湿度を上げたり、水分の補給、上半身を高くしてあげるなどで一時的に改善することもありますが、呼吸困難が強い場合は早急な医療機関受診が必要です。
  • 気管支喘息の特徴と原因
    気管支喘息は気道が慢性的に炎症を起こし、過敏になっている病気です。アレルゲン(ハウスダスト、ダニ等)の吸入や風邪、運動、低気圧などが引き金となり気道が狭くなり、発作的に息苦しさや激しい咳、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)が現れます。慢性疾患のため長期的な管理と治療が必要であり、予防薬や吸入薬を定期的に使用することもあります。

病院を受診する目安と救急車を呼ぶべきケース

以下の場合には早めに病院を受診してください。


  • 病院受診の目安
    ・せきが2週間以上続く場合
    ・激しいせきで夜間に眠れない場合
    ・せきに加え発熱や食欲低下、元気や活気がない場合
  • 救急車を呼ぶべきケース
    ・呼吸困難やゼーゼーと息苦しそうな状態が改善しない場合
    ・唇や顔色が青白く(チアノーゼ)意識がはっきりしない場合
    ・強いせき込みによって意識が遠のく、ぐったりしている場合

せきが治まった後の家庭でのケアと過ごし方

せきが治まっても気道の炎症は残ることが多く、数日は激しい運動や冷たい空気を避け、屋内でゆっくり過ごしましょう。こまめな水分補給、適度な加湿を継続し、体調の回復を助けます。また、症状が再燃する場合はすぐに医療機関を受診してください。

再発を防ぐための日常生活の注意点

せきの再発を防ぐため、日常生活で以下の点を注意しましょう。


  • 手洗い、うがいを日常的に行い感染予防を徹底する。
  • 室内の空気を清潔に保ち、適切な湿度と温度の管理を行う。
  • 気管支喘息のお子さまは医師の指示に従い予防薬を適切に使う。
  • アレルゲン(ハウスダスト、ダニ等)や煙、強い刺激(香水や芳香剤など)を避ける。

よくある質問

せきが続いている場合、すぐに病院に行くべきですか?
軽いせきなら数日様子を見ても良いですが、激しいせきや症状が続く場合は早めに受診しましょう。
咳止め薬はいつ使ったらいいですか?
せきが強くて睡眠や生活に支障が出る場合に医師の指示で使用します。
クループの咳は夜間になぜ悪化するのですか?
夜間は気道が狭くなりやすく、横になった姿勢がさらに気道を圧迫するためです。
気管支喘息は治りますか?
気管支喘息は年齢とともに症状が軽くなることがありますが、慢性的な疾患のため長期の管理が必要です。
子どもの肺炎は自宅で治せますか?
軽症なら自宅治療も可能ですが、医師の判断によります。症状が重ければ入院が必要です。
咳があるときに運動させても良いですか?
咳が出ている間は運動を控え、安静を保ちましょう。回復後も激しい運動は徐々に再開しましょう。
加湿器の使用はどの程度が適切ですか?
室内の湿度を50〜60%程度に維持するのが望ましいです。
咳が出るとき、冷たい飲み物は避けるべきですか?
冷たすぎる飲み物は刺激になることがあります。常温か温かい飲み物が良いでしょう。

まとめ

子どものせきは非常に頻繁に見られる症状であり、軽い症状であれば家庭でのケアで回復することも多くあります。しかし、せきは単なる軽い症状だけでなく、肺炎やクループ、気管支喘息など重大な病気の初期症状や兆候として現れることがあります。これらの病気は進行すると急速に重症化し、呼吸困難や入院治療が必要になることも珍しくありません。

特に肺炎やクループは、小さな子どもでは気道が細いために症状が急に悪化するリスクがあります。気管支喘息も慢性疾患であり、日頃から適切な治療と予防管理が行われないと、頻繁な発作を繰り返し、子どもの生活の質や成長に影響を及ぼすことがあります。そのため、子どものせきに対しては、早期の適切な診断と治療が重要となります。

また、せきが続くと睡眠不足や食欲低下につながり、免疫力が落ち、さらなる感染症を引き起こすリスクが高まります。家庭での適切なケアとしては、十分な水分補給、適切な湿度管理、安静に過ごす環境作りが求められます。

さらに再発予防には、手洗いやうがいの習慣化、予防接種の適切な実施、アレルゲンや刺激物の回避など、日常生活での継続的な注意が不可欠です。

岩間こどもクリニックでは、子どものせきについて詳細な診察を行い、原因疾患をしっかりと特定し、それに応じた丁寧で的確な治療を行っています。子どもの健康を守るためにはご家庭と医療機関が密に連携し、小さな変化も見逃さず、早めに対処することが重要です。

お子さまが毎日元気に過ごせるよう、気になる症状や少しでも不安があれば、遠慮せず早めにご相談ください。私たちは子どもたちの健やかな成長と笑顔を全力でサポートいたします。

TOP