下痢

diarrhea

下痢とは?子どもに多い原因と疾患・家庭での対処法を小児科医が詳しく解説

下痢とは?子どもに多く見られる理由

下痢とは、水分を多く含んだ軟らかい便や水様便が排泄される状態のことを指します。子どもは消化器官が未熟で敏感なため、感染症や食べ物の影響を受けやすく、大人に比べて下痢を起こしやすい傾向があります。特に乳幼児は体内の水分割合が高く、下痢が続くと脱水症状を引き起こしやすいため注意が必要です。

子どもが下痢を起こした際の注意点

子どもが下痢をした際には以下の点に注意しましょう。


  • 下痢の回数や量、便の状態を細かく確認し記録する。
  • 下痢以外に嘔吐、発熱、腹痛など他の症状がないかを確認する。
  • 水分補給をこまめに行い、脱水症状を予防する。
  • 市販薬の使用は自己判断で行わず、必ず医師の指示を仰ぐ。
  • 血便には特に注意する。

子どもが下痢をした際の家庭での対処法

家庭でできる基本的な対処法は以下の通りです。


  • 経口補水液(ORS)やイオンウォーター、薄めた麦茶などでこまめに水分補給を行う。
  • 消化が良く、刺激の少ない食事(お粥、うどん、そうめんなど)を与える。
  • おむつや下着をこまめに交換し、皮膚の清潔を保つ。
  • 手洗いを徹底し、家族への感染拡大を防ぐ。

下痢を起こす代表的な疾患

  • ウイルス性胃腸炎の特徴と原因
    ウイルス性胃腸炎は、ロタウイルスやノロウイルスなどが原因で起こります。症状は水様性の下痢、嘔吐、腹痛、発熱などで、非常に感染力が強いため家族間や集団生活で流行しやすい疾患です。特に乳幼児は重症化しやすく、脱水症状に十分注意が必要です。
  • 食物アレルギー・乳糖不耐症の特徴と原因
    食物アレルギーは特定の食物に対して過敏な免疫反応を示し、下痢や腹痛、発疹などが起こります。一方、乳糖不耐症は牛乳に含まれる乳糖を消化する酵素が不足していることで、乳製品摂取後に下痢を引き起こします。原因となる食物を避けることで症状を予防できます。症状が繰り返される場合は、医療機関でのアレルギー検査や専門的な指導を受けることが重要です。
  • 食中毒の特徴と原因
    食中毒は細菌やウイルスの毒素に汚染された食品を摂取することで引き起こされ、急な下痢、腹痛、嘔吐、発熱を伴います。特に夏季など高温多湿な季節に多く見られます。症状が急激に悪化することがあるため、適切な治療が必要であり、早期の医療機関受診が大切です。

病院を受診する目安と救急車を呼ぶべきケース

以下の場合には早めに病院を受診してください。


  • 病院受診の目安
    ・下痢が2日以上続き、水分摂取が困難な場合
    ・血便が出る、腹痛や嘔吐がひどい場合
    ・高熱やぐったりした状態が続く場合
  • 救急車を呼ぶべきケース
    ・意識が朦朧とし、ぐったりとして反応が乏しい場合
    ・激しい嘔吐や腹痛で動けない場合
    ・明らかな脱水症状(尿量減少、唇の乾燥、手足の冷え)が見られる場合

症状が改善した後の家庭でのケアと過ごし方

下痢が治まった後も腸の機能が回復するまでは、消化のよい食事を少量ずつ与えましょう。脂っこい食事や刺激物は避け、腸への負担を減らすことが大切です。引き続き水分補給を行い、便の状態を確認しながら徐々に通常の食事に戻していきます。

再発を防ぐための日常生活の注意点

下痢の再発予防のために、以下を徹底しましょう。


  • 手洗いを習慣化し、食品衛生管理を徹底する。
  • 食品は適切に保存し、鮮度や衛生状態を確認する。
  • 食物アレルギーの場合は原因食品を完全に除去する。
  • 乳糖不耐症の場合は乳製品を控え、代替食品を選ぶ。

よくある質問

下痢の時に牛乳は飲ませて良いですか?
下痢時は牛乳など乳製品は控え、経口補水液や麦茶などで水分補給をしましょう。
下痢が続いている時の食事は何が良いですか?
お粥や柔らかく煮たうどん、そうめんなど消化がよく刺激が少ない食べ物が適しています。
経口補水液は家庭でも作れますか?
市販品が推奨されますが、水1リットルに砂糖大さじ4と塩小さじ半分を混ぜて代用も可能です。
ウイルス性胃腸炎の感染力はどれくらい続きますか?
症状が改善しても2週間程度は便中にウイルスが排出されます。手洗いを徹底しましょう。
食中毒の予防法はありますか?
食品の加熱や冷蔵保存、手洗いの徹底が効果的な予防法です。
血便が出た場合は危険ですか?
血便は重症疾患のサインになることがあります。すぐに医療機関を受診しましょう。
下痢止め薬を市販で使ってもいいですか?
自己判断での使用は避け、医師の指示のもと使用しましょう。
下痢後いつから通常の食事に戻れますか?
症状が改善して2〜3日後、便の状態を見ながら徐々に通常食に戻します。

まとめ

子どもの下痢は頻繁に見られる症状ですが、その原因や背景にはウイルス性胃腸炎、食物アレルギー・乳糖不耐症、食中毒など様々な疾患が潜んでいます。特に乳幼児期の下痢は短時間で脱水症状が進行し、生命に関わる事態を引き起こす可能性があるため、適切かつ迅速な対応が不可欠です。

下痢が起きた際には、単に便の状態だけでなく、嘔吐、発熱、腹痛、元気がないなど全身状態も注意深く観察することが非常に重要です。早期に症状を把握し、家庭での適切なケア(水分補給や食事の工夫、衛生管理)を実施するとともに、必要に応じて早めに医療機関を受診することで、重症化や合併症を予防することができます。

また、再発予防には日頃からの衛生管理が欠かせません。手洗いや食品管理の徹底、原因となる食品の回避や栄養面での配慮も継続的に行うことが重要です。

岩間こどもクリニックでは、お子さまの下痢に対して原因疾患を的確に診断し、丁寧な治療や指導を提供しています。また、ご家庭でできる具体的なケアについても詳しくアドバイスを行っています。少しでも気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。

子どもたちが元気で健康に成長していけるように、保護者の方と医療機関が協力して早期対応することが大切です。私たちは、お子さまとご家族が安心して笑顔で過ごせるよう、全力でサポートいたします。

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