感染性胃腸炎

Infectious_gastroenteritis

感染性胃腸炎の症状・原因・予防法|感染症の対策と家庭での対処法

感染性胃腸炎とは

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などの病原体が原因で起こる胃腸の炎症で、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状が特徴です。
特に冬場に多くみられる感染症で、ノロウイルスやロタウイルス以外にも、様々な病原体が感染の原因となることが知られています。
嘔吐や下痢によって脱水症状を引き起こす場合もあります。
原因が様々であることから、自宅で容易に判断せず下痢、嘔吐がある場合や強い腹痛がある場合には小児科を受診するようにしましょう。

感染性胃腸炎の主な原因となる病原体

感染性胃腸炎の原因となる主な病原体は、以下の通りです。

 
病原体 感染経路 特徴 症状 予防方法
ノロウイルス 経口感染(汚染された食べ物や飲み物、患者の吐物や便など) 感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染する 嘔吐、腹痛、下痢、発熱 手洗い、うがい、消毒、加熱、水分補給
ロタウイルス 経口感染(汚染された食べ物や飲み物、患者の便など) 乳幼児に多くみられる 嘔吐、下痢、発熱 手洗い、うがい、消毒、ワクチン接種
サルモネラ菌 経口感染(汚染された食品、特に鶏肉や卵など) 食中毒の原因菌として知られている 発熱、腹痛、下痢、嘔吐 食品の加熱、手洗い、生食の控え
カンピロバクター菌 経口感染(汚染された食品、特に鶏肉や豚肉など) 食中毒の原因菌として知られている 発熱、腹痛、下痢 食品の加熱、手洗い、生食の控え
大腸菌 経口感染(汚染された食品や水、患者の便など) 食中毒の原因菌として知られている 発熱、腹痛、下痢、嘔吐 食品の加熱、手洗い、生食の控え
腸炎ビブリオ菌 経口感染(汚染された魚介類など) 夏場に多くみられる 発熱、腹痛、下痢、嘔吐 魚介類の加熱、手洗い
赤痢菌 経口感染(汚染された食品や水、患者の便など) 下痢が主な症状で、重症化すると血便がみられる 発熱、腹痛、下痢 手洗い、うがい、消毒

受診の目安

以下のような症状がある場合は、すぐに小児科を受診しましょう。


  • 6時間以上吐き続けている
  • コーヒーのカスのような吐物がある
  • 吐いたものが緑色
  • 水分補給ができていない、口の中が渇いている
  • 汗をかいていない、おしっこが出ない
  • 顔色が悪く、ぐったりしている
  • 発熱、咳、発疹も出ている
  • 息苦しそうにしている
  • 血便が出る
  • お腹をひどく痛がっている

感染経路と発症の仕組み

感染性胃腸炎は主に経口感染によって広がります。
感染者の排泄物や嘔吐物に含まれるウイルスや細菌が手や食物を通じて口に入ることで感染が成立します。
また、汚染された食品や水を摂取することも感染の原因となります。
感染後、病原体は胃や腸の粘膜に侵入し、炎症を引き起こすことで症状が現れます。

感染性胃腸炎の症状

感染性胃腸炎の症状は、感染した病原体の種類によって異なりますが、共通する主な症状には吐き気、嘔吐、腹痛、下痢があります。
これらの症状は、体内に侵入した病原体が胃や腸の粘膜に炎症を引き起こすことで発生します。
特に嘔吐や下痢によって脱水症状を引き起こすことがあり、注意が必要です。

主な症状とその特徴

  • 吐き気と嘔吐
    感染初期に多く見られる症状で、嘔吐が頻繁に起こることが多いです。嘔吐が続くと体力を消耗し、食事が取れなくなるため、早期の対処が重要です。
  • 腹痛
    腹部に強い痛みを感じることがあります。特に下腹部に痛みが集中することが多く、子どもは痛みのために動けなくなることもあります。
  • 下痢
    水様性の下痢が特徴で、1日に何度も下痢が続くことがあります。これにより体内の水分が失われ、脱水症状を引き起こすリスクが高まります。
  • 発熱
    感染の種類によっては発熱を伴うことがあります。特に細菌感染による場合、高熱が出ることがあります。

重症化のリスクと注意すべき症状

感染性胃腸炎が重症化すると、脱水症状が進行し、意識障害やショック状態に陥ることがあります。
以下のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。


  • 6時間以上吐き続けている
  • コーヒーのカスのような吐物がある
  • 吐いたものが緑色
  • 水分補給ができていない、口の中が渇いている
  • 汗をかいていない、おしっこが出ない
  • 顔色が悪く、ぐったりしている
  • 発熱、咳、発疹も出ている
  • 息苦しそうにしている
  • 血便が出る
  • お腹をひどく痛がっている

感染性胃腸炎の診断と治療法

感染性胃腸炎の診断は、主に症状の観察と病原体の検出によって行われます。
病原体の特定には、便検査や血液検査が用いられることがあります。
診断が確定した後は、症状に応じた治療が行われます。

主な治療方法

感染性胃腸炎の治療は、主に対症療法が中心です。
特効薬がない場合も多いため、以下のような対策が取られます。


  • 水分補給
    嘔吐や下痢で失われた水分を補給することが最も重要です。特に幼児や高齢者は脱水症状に陥りやすいため、経口補水液やイオン飲料をこまめに与えることが推奨されます。
  • 食事
    症状が軽減した後は、消化に良い食べ物(お粥やスープなど)を少しずつ摂取させます。脂っこいものや辛いものは避け、胃腸に優しい食事を心がけましょう。
  • 安静
    十分な休養を取り、体力の回復を図ります。特に発熱がある場合は、無理をせず静養することが重要です。
  • 感染対策
    感染が拡大しないように、家庭内での感染対策も徹底します。嘔吐物や排泄物の処理時には使い捨て手袋を着用し、処理後は手洗いや消毒を忘れずに行いましょう。

お子さまが吐いたときの対処法

お子さまが突然吐いてしまった場合、親としてはとても心配になるものです。
まずは落ち着いて対処し、適切なケアを行うことが大切です。


  • 体を起こして静かに背中をさする
    吐いた後は、体を少し起こして背中を優しくさすり、楽な体勢を取らせます。これにより、呼吸がしやすくなります。また、車酔いなどが原因の場合は、横になって安静にさせることも良いでしょう。
  • 水分補給
    吐き気が少し落ち着いたら、こまめに水分補給を行いましょう。嘔吐後すぐに大量の水分を摂ると、再び吐いてしまうことがあるため、少量ずつ与えることがポイントです。授乳中の赤ちゃんには、母乳やミルクを少しずつ与えるようにします。
  • 感染対策
    感染性胃腸炎は非常に感染力が強いため、他の家族に感染が広がらないよう、手洗いやマスクの着用、嘔吐物の処理時には使い捨て手袋を使い、処理後は必ず消毒を行います。

吐いた後のケアと観察ポイント

  • 体を起こして静かに背中をさする
    吐いた後は、体を少し起こして背中を優しくさすり、楽な体勢を取らせます。これにより、呼吸がしやすくなります。また、車酔いなどが原因の場合は、横になって安静にさせることも良いでしょう。
  • 水分補給
    吐き気が少し落ち着いたら、こまめに水分補給を行いましょう。嘔吐後すぐに大量の水分を摂ると、再び吐いてしまうことがあるため、少量ずつ与えることがポイントです。授乳中の赤ちゃんには、母乳やミルクを少しずつ与えるようにします。
  • 感染対策
    感染性胃腸炎は非常に感染力が強いため、他の家族に感染が広がらないよう、手洗いやマスクの着用、嘔吐物の処理時には使い捨て手袋を使い、処理後は必ず消毒を行います。

医師に伝えるための観察ポイント

受診の際に医師に正確な情報を伝えるため、以下の点を注意深く観察してください。


  • 嘔吐の回数
    何回吐いたのか、どのくらいの間隔で嘔吐が起こっているのかを記録しておくと、診断の際に役立ちます。
  • 他の症状
    頭痛や腹痛、下痢、発熱などの他の症状が見られるかを確認します。これらの情報も医師に伝えることで、より適切な診断が可能になります。
  • 食欲
    お子さまが食事を取る意欲があるかどうかも重要な観察ポイントです。食欲が全くない場合や、食べ物を拒否する場合は、その旨を医師に伝えましょう。

感染性胃腸炎の予防方法

感染性胃腸炎を予防するためには、日常生活での衛生管理が非常に重要です。
特に、家族全員が徹底して予防策を講じることで、感染リスクを大幅に減らすことができます。

予防のための日常的な対策

  • 手洗い
    手洗いは最も基本的でありながら、最も効果的な予防策です。外出後やトイレの後、食事の前後には必ず石鹸と水で手を洗う習慣を徹底しましょう。
  • うがい
    外出先から帰宅した際や食事前にうがいをすることで、口や喉に付着した病原体を洗い流すことができます。特に冬季や流行シーズンには、頻繁にうがいを行うことが推奨されます。
  • 食品の加熱
    食品は十分に加熱してから摂取するようにしましょう。特に魚介類や生肉は、ウイルスや細菌が残っている可能性があるため、内部までしっかりと火を通すことが重要です。
  • 部屋の換気
    室内の空気を清潔に保つために、定期的に換気を行いましょう。特に冬季は部屋を閉め切りがちですが、こまめに空気を入れ替えることが、感染予防に効果的です。

感染性胃腸炎に関するFAQ

感染性胃腸炎はどのようにして広がりますか?
感染性胃腸炎は、主に感染者の嘔吐物や便を介して広がります。感染者がトイレを使用した後や、嘔吐物の処理をした後に、手を十分に洗わずに食べ物や飲み物を扱うことで、他の人に感染が広がることがあります。また、家庭内での密接な接触によっても感染が広がる可能性があります。
感染性胃腸炎はどのくらいの期間で治りますか?
感染性胃腸炎の症状は、通常2~3日で軽減し始め、1週間程度で治癒することが多いです。ただし、症状が重い場合や、体力が著しく低下している場合は、回復に時間がかかることがあります。十分な休養と水分補給を行い、無理をせずに過ごすことが大切です。
家族内で感染性胃腸炎が発生した場合、どうすれば良いですか?
家庭内で感染性胃腸炎が発生した場合、まずは感染者を他の家族から隔離し、マスクの着用や手洗いを徹底することが重要です。嘔吐物や便を処理する際には、使い捨て手袋を着用し、処理後は手洗いと消毒を行いましょう。また、感染者が触れた物や使用したタオルなどは、他の家族が使用しないようにしましょう。

まとめ

感染性胃腸炎は、様々な病原体が原因で発症する病気であり、適切な予防と早期の対応が求められます。
感染予防には、日常生活での手洗いやうがい、食品の十分な加熱、室内の換気などが非常に重要です。
また、症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることで、重症化を防ぐことができます。
家族全員が感染しないよう、家庭内でもしっかりと予防策を講じましょう。

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