蕁麻疹

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蕁麻疹のすべて|原因、症状、治療法、日常生活でできる対策を詳しく解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

蕁麻疹とは

蕁麻疹(じんましん) は、皮膚に突然赤みや盛り上がった発疹が現れ、強いかゆみやチクチクするような刺激を伴う皮膚疾患です。蕁麻疹は数時間以内に消えることが多いものの、症状が繰り返し現れたり、数日以上続く場合もあります。多くの場合、蕁麻疹は一時的なもので、時間が経つと自然に治まりますが、慢性化することもあるため注意が必要です。

蕁麻疹は子どもから大人まで幅広い年齢層に見られ、特に免疫反応が未熟な子どもや、アレルギー体質の人に発症しやすい傾向があります。また、特定の原因がはっきりしないケースも少なくありません。

蕁麻疹の主な症状と特徴

蕁麻疹の症状は個人差がありますが、代表的な特徴は次の通りです。

  • 発疹の出現
    蕁麻疹では、皮膚に突然、赤みを帯びた膨らみ(膨疹)が現れます。形や大きさはさまざまで、小さな点状のものから地図のように広がるものまであります。
  • 強いかゆみや刺激感
    多くの蕁麻疹は、強いかゆみや、チクチク感を伴います。かゆみが我慢できずに掻きむしってしまうと、症状が悪化することがあるため注意が必要です。
  • 突然出現して短時間で消失
    急性蕁麻疹の場合、発疹は突然現れて数時間以内に消えることがほとんどです。しかし、別の場所に新たな発疹が出ることもあり、繰り返すことがあります。
  • 全身に広がることもある
    発疹は局所的に現れることもあれば、全身に広がることもあります。特に顔や手足、背中などに症状が現れやすいです。
  • その他の症状
    浮腫: まぶたや唇などが腫れることがあります(血管性浮腫)。
    発熱や倦怠感: 重度の場合、全身症状として発熱や疲れやすさが現れることもあります。

蕁麻疹が起こる原因とは

蕁麻疹の原因は多岐にわたり、発症のきっかけとなる要因がはっきりと特定できないこともあります。主な原因は以下の通りです。

1. アレルギー反応

アレルギー性蕁麻疹は、免疫系が特定の物質(アレルゲン)に過剰反応することで発症します。

  • 食物
    卵、乳製品、エビ、カニ、ナッツ類、魚類など
  • 薬物
    抗生物質、解熱鎮痛剤、サプリメントなど
  • 植物・昆虫
    植物の花粉、虫刺され

2. 非アレルギー性の刺激

アレルギーではない原因でも、蕁麻疹は引き起こされることがあります。

  • 物理的刺激
    圧迫、摩擦、寒冷、温熱、日光など
  • 化学的刺激
    化学薬品、金属、添加物
  • 感染症
    風邪やウイルス感染、細菌感染が引き金になることもあります。

3. ストレスや疲労

ストレスや過労による自律神経の乱れも、蕁麻疹の原因になります。精神的な負担が大きいと、免疫機能が過剰反応を引き起こすことがあります。

4. その他の原因

  • 内臓疾患
    肝機能障害や甲状腺疾患
  • 原因不明
    慢性蕁麻疹の多くは、原因が特定できない「特発性蕁麻疹」に分類されます。

急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹の違い

蕁麻疹は大きく「急性蕁麻疹」と「慢性蕁麻疹」の2つに分類されます。それぞれの特徴と違いについて解説します。

急性蕁麻疹

急性蕁麻疹は、突然発症して比較的短期間で症状が治まるタイプです。

  • 発症期間
    数時間〜数日(最長1か月以内)
  • 原因
    食物、薬物、感染症、物理的刺激などがきっかけになることが多いです。
  • 特徴
    短時間で発疹が出たり消えたりし、繰り返すこともあります。

慢性蕁麻疹

慢性蕁麻疹は、症状が1か月以上続くタイプです。原因が特定できないことが多く、繰り返し発症します。

  • 発症期間
    1か月以上(数か月〜数年続くこともあります)
  • 原因
    多くの場合は特発性(原因不明)。ストレスや疲労が関与することがあります。
  • 特徴
    毎日のように症状が現れたり、一定の時間帯に発疹が出やすいことがあります。

慢性蕁麻疹は長期間にわたり症状が続くため、生活の質(QOL)を大きく低下させることがあります。医師と相談しながら、根気強く治療を続けることが重要です。

蕁麻疹の診断方法と医療機関での対応

蕁麻疹は、皮膚に突然現れる発疹やかゆみを伴うため、見た目で診断がつくことが多い疾患です。しかし、症状の原因や背景を正確に判断し、適切な治療を行うためには医療機関での診察が重要です。

診断の流れ

まず、医師は問診を通して症状や発症の経緯について確認します。 「いつから症状が現れたのか」「特定の食べ物や薬を摂取したか」「ストレスや体調の変化があったか」など、日常生活の中で考えられる原因について丁寧に聞き取ります。

次に、皮膚の状態を確認し、発疹の特徴や広がり具合、皮膚の腫れ方などを観察します。急性蕁麻疹か慢性蕁麻疹か、またはアレルギー性の反応が疑われるかを見極めるポイントとなります。

さらに、必要に応じて血液検査やアレルギー検査を行い、IgE抗体(アレルギー反応を示す数値)や炎症反応をチェックすることもあります。ただし、慢性蕁麻疹の多くは原因が特定されないため、検査結果で明確な異常が見つからないことも少なくありません。

医療機関での対応

医療機関では、蕁麻疹の状態に合わせて適切な治療が行われます。軽症の場合は生活指導や対症療法が中心となりますが、重症の場合や症状が長引く場合は、薬物治療が必要です。
特に、呼吸困難を伴う場合(アナフィラキシーの疑い)には、緊急の処置が求められるため、速やかに受診することが大切です。

蕁麻疹の治療法と薬の種類について

蕁麻疹の治療は、症状を和らげることを目的とした対症療法が基本です。多くの場合、アレルギー反応やヒスタミンの過剰分泌が原因となるため、薬物治療が効果的です。

薬物治療

医師が処方する代表的な薬には、以下のものがあります。

抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬

蕁麻疹のかゆみや発疹の原因となる「ヒスタミン」の作用を抑える薬です。症状の緩和に最も広く使用されており、第一選択薬として処方されます。服用後、数時間でかゆみが軽減することが多いです。症状に応じて外用薬も使用されます。

ステロイド薬

症状が重い場合や全身に広がっている場合には、ステロイド薬が使用されることがあります。内服薬や外用薬として処方され、炎症やかゆみを抑える効果が高い反面、長期間の使用は副作用のリスクがあるため注意が必要です。

免疫抑制剤

慢性蕁麻疹で他の治療法が効果を示さない場合に用いられます。免疫系の過剰な反応を抑え、症状を緩和します。

日常生活での対処法

治療と並行して、日常生活の中でも症状を悪化させないための対策が大切です。

  • 冷やす
    かゆみが強い場合は、患部を冷たいタオルなどで冷やすと症状が和らぐことがあります。
  • 刺激を避ける
    衣服や寝具は肌に優しい素材を選び、摩擦や圧迫を避けるようにしましょう。
  • 規則正しい生活
    睡眠不足やストレスが症状を悪化させることがあるため、規則正しい生活を心がけます。

蕁麻疹は適切な治療と生活習慣の見直しで改善することが多いため、医師と相談しながら根気よく対処することが大切です。

家庭でできる蕁麻疹のケアと対処法

蕁麻疹が現れた場合、家庭での適切なケアが症状の悪化を防ぎ、回復を助けます。

1. 患部を冷やす

かゆみや腫れが強い場合、冷やしたタオルや保冷剤を使って患部を冷やすと症状が軽減されます。冷やすことで血管の拡張が抑えられ、かゆみを感じにくくなります。

2. 皮膚への刺激を避ける

蕁麻疹が出ているときは、皮膚を刺激する行動は避けることが大切です。

  • 掻かない
    掻きむしると皮膚が傷つき、症状が悪化します。子どもは無意識に掻いてしまうため、爪を短く切ると良いでしょう。
  • 摩擦を避ける
    服や寝具は柔らかい素材を選び、締め付けが少ない衣類を着用しましょう。

3. 入浴時の注意

入浴は体を清潔に保つために重要ですが、熱いお湯は血行を促進し、かゆみが悪化することがあります。ぬるめのお湯に短時間入るようにし、石けんは刺激の少ないものを使いましょう。入浴後は保湿剤を使って肌を守ることも効果的です。

4. 食事や生活習慣の見直し

食事では、蕁麻疹を引き起こす可能性がある食品(青魚、刺激の強い香辛料など)を避け、バランスの良い食生活を心がけます。十分な睡眠と適度な運動で免疫力を高めることも大切です。また、ストレスをためないようリラックスする時間を作ると、症状の改善につながります。

蕁麻疹が悪化した場合の注意点と合併症

蕁麻疹は多くの場合、短時間で自然に症状が治まりますが、まれに重症化し、全身症状や合併症を引き起こすことがあります。特に注意が必要なケースや見逃してはいけない症状について解説します。

重症化した蕁麻疹の症状

蕁麻疹が悪化すると、皮膚だけでなく体の他の部位にも影響が出ることがあります。

  • 血管性浮腫(クインケ浮腫)
    目や唇、まぶた、喉などが突然腫れる症状です。特に喉が腫れると呼吸困難を引き起こすことがあり、危険な状態になることがあります。
  • アナフィラキシー
    アレルギー反応が全身に現れる重篤な症状です。急激な血圧低下や意識障害、呼吸困難、嘔吐などを伴い、命に関わることもあるため、速やかな医療機関での対応が必要です。

合併症のリスク

慢性的な蕁麻疹や治療が不十分な場合、以下のような合併症が生じることがあります。

  • 皮膚の炎症
    強いかゆみで皮膚を掻きむしり、細菌感染を起こすことがあります。皮膚が赤く腫れたり、膿が出ることもあります。
  • 日常生活の支障
    かゆみや痛みが続くことで、睡眠不足や集中力の低下を引き起こし、生活の質(QOL)が大きく低下します。

注意すべきポイント

以下のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 喉や口の中が腫れて息苦しさを感じる
  • 全身に広がる発疹やかゆみが治まらない
  • 嘔吐や下痢、意識の混濁が見られる

蕁麻疹が現れたときは、安易に自己判断せず、症状の経過をよく観察することが重要です

蕁麻疹を予防するための生活習慣と食事のポイント

蕁麻疹の予防には、日常生活の見直しと体質改善が大切です。発症を防ぐために心がけたい生活習慣や食事のポイントを解説します。

1. 規則正しい生活習慣

  • 十分な睡眠
    睡眠不足は免疫機能の乱れを引き起こし、蕁麻疹の発症リスクを高めます。毎日決まった時間に寝る習慣をつけましょう。
  • ストレス管理
    ストレスが原因で蕁麻疹が出ることがあります。趣味の時間を作ったり、リラックスすることでストレスを軽減しましょう。
  • 適度な運動
    適度な運動: 軽いウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を継続することで体の免疫力を高め、蕁麻疹の予防に役立ちます。

2. 食生活の見直し

蕁麻疹の発症を抑えるためには、食事にも気を配ることが重要です。

  • 刺激物を避ける
    香辛料やカフェイン、アルコールは血管を拡張し、かゆみを悪化させることがあるため、控えめにしましょう。
  • アレルゲン食品を確認する
    卵や乳製品、エビ・カニなど、過去にアレルギー反応が出た食品は避けるようにします。
  • バランスの良い食事
    ビタミンCやビタミンB群、食物繊維を豊富に含む野菜や果物、腸内環境を整える発酵食品を積極的に摂りましょう。

3. 環境の整備

物理的な刺激やアレルゲンに触れないよう、生活環境を清潔に保つことが大切です。

  • 室内の掃除をこまめに行い、ダニやホコリを減らす
  • 衣類や寝具は肌触りの良い素材を選び、柔軟剤や洗剤は低刺激のものを使用する
  • 入浴時は熱すぎるお湯を避け、ぬるま湯で体を洗うようにする

毎日の生活に気をつけることで蕁麻疹の発症リスクを減らし、症状をコントロールすることが可能になります。

子どもに多い蕁麻疹とその対策

子どもは免疫機能が未発達であるため、大人よりも蕁麻疹が出やすい傾向があります。特に、感染症や食べ物が原因となるケースが多く見られます。

子どもに多い原因

  • 食物アレルギー
    子どもに多い 卵、牛乳、小麦、ナッツ類、魚介類などが代表的な原因です。初めて食べる食品には注意し、少量ずつ与えましょう。
  • 感染症
    風邪やウイルス感染がきっかけとなり、蕁麻疹が現れることがあります。
  • 虫刺されや植物
    外遊び中に虫刺されや植物に触れて発症することもあります。

ストレスと蕁麻疹の関係について

蕁麻疹の発症や悪化には、ストレスが大きく関わることがあります。特に慢性蕁麻疹では、アレルギーや感染症といった明確な原因が見つからないことが多く、ストレスがトリガーとなるケースが少なくありません。

ストレスが引き起こすメカニズム

ストレスが体にかかると、自律神経のバランスが乱れ、免疫機能が過剰に反応することがあります。これにより、ヒスタミンが多量に分泌され、蕁麻疹を引き起こす原因となります。また、ストレスによってホルモンバランスが崩れることで、かゆみが悪化することもあります。

ストレス性蕁麻疹の特徴

  • 精神的な負担や疲労が続いた後に症状が現れることが多い
  • かゆみが強く、夜間やリラックスしているときに悪化する傾向がある
  • 明確なアレルゲンが見つからない

ストレス性蕁麻疹の対策

ストレスによる蕁麻疹を改善するためには、日常生活で心身のリラックスを心がけることが重要です。

  • 適度な休息
    睡眠時間をしっかり確保し、疲れをためないようにしましょう。
  • 趣味や運動を取り入れる
    趣味の時間を作ったり、軽い運動を取り入れてリフレッシュすることが効果的です。
  • 深呼吸や瞑想
    自律神経のバランスを整えるために、深呼吸や瞑想、ヨガなどを行いましょう。

医療機関では、ストレス性蕁麻疹に対して抗ヒスタミン薬を処方し、症状のコントロールを行うと同時に、心身のケアについてもアドバイスを行います。症状が長引く場合は、心療内科や精神科と連携しながら、ストレスの原因を取り除くアプローチが必要になることもあります。

蕁麻疹と似た症状を持つ病気との違い

蕁麻疹に似た症状を示す病気も多く、正しい診断が重要です。見た目だけで判断せず、症状や経過をしっかり観察することが必要です。


  • アトピー性皮膚炎
    アトピー性皮膚炎は、慢性的にかゆみが続き、皮膚が乾燥して赤くなる症状が特徴です。蕁麻疹のように短時間で発疹が消えることはなく、湿疹が続く点が異なります。
  • 接触性皮膚炎
    特定の物質(化学薬品や植物、金属など)に触れた部位に発疹が現れるのが特徴です。発症部位が限られている点や、原因が明確な場合が多いことが蕁麻疹との違いです。
  • 薬疹
    薬の服用後に発疹が現れる症状です。蕁麻疹と似ていますが、薬疹では発疹が広範囲に広がり、発熱や全身のだるさを伴うことがよくあります。
  • 食物アレルギー
    食物アレルギーでも蕁麻疹のような発疹が現れますが、同時に口の中の腫れや呼吸困難、嘔吐などを伴うことがあります。アナフィラキシーを引き起こす危険性があるため、迅速な対応が必要です。

蕁麻疹と似た症状が続く場合は、自己判断せずに医療機関で正確な診断を受けることが重要です。

岩間こどもクリニックの蕁麻疹診療とサポート

岩間こどもクリニックでは、蕁麻疹に対する診療を行い、症状の緩和と再発防止のサポートを行なっております。お子さまの急な発疹やかゆみが見られた際は、ぜひご相談ください。


  • 丁寧な診察と原因の特定
    問診と皮膚の観察を丁寧に行い、症状の原因や背景を詳しく調べます。必要に応じてアレルギー検査や血液検査を行い、原因を特定し適切な治療方針を立てます。
  • 薬物療法による症状のコントロール
    抗ヒスタミン薬やかゆみ止めの外用薬を処方し、かゆみや発疹の症状を和らげます。重症の場合は、ステロイド薬や免疫抑制剤を併用することもあります。
  • 家庭でのケア指導
    日常生活で注意すべきポイントや、家庭でできるケア方法についてアドバイスします。特にお子さまの場合、発疹を掻きむしらない工夫や環境整備が重要です。
  • 予防策の提案
    再発防止のために、食事や生活習慣の見直しについても具体的にサポートします。保護者の方が不安を感じることなくケアできるよう、丁寧にご説明いたします。

蕁麻疹は見た目の症状が強いため、保護者の方が心配になることも多いですが、岩間こどもクリニックではお子さま一人ひとりの症状に合わせた診療を行い、安心して治療を受けられる環境を提供しています。

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