乳糖不耐症とは？下痢や腹痛の原因と対策を詳しく解説 - 岩間こどもクリニック(小児科)

乳糖不耐症による下痢症とは

乳糖不耐症とは

乳糖不耐症と年齢の関係

乳糖不耐症の発症には年齢も関わっており、生まれたばかりの赤ちゃんにはラクターゼが豊富にありますが、成長とともにその量が減少することがあります。
一般に、乳幼児期には乳糖を消化する能力が高い一方で、数か月から数歳にかけてラクターゼの量が減少し始めることがあり、これが乳糖不耐症の発症リスクを高めます。
成人や高齢者にも乳糖不耐症は見られるため、年齢に応じて乳糖摂取量を調整することが望ましいです。

乳糖不耐症の症状

乳糖不耐症の主な症状は、牛乳や乳製品の摂取後に見られる下痢や腹痛、膨満感です。
特に乳糖不耐症による下痢は水様性であり、摂取後30分～2時間で発症することが多いです。
個人差はあるものの、乳製品の摂取量が増えるほど症状が重くなる傾向があり、少量であれば症状が出ない場合もありますが、大量摂取により激しい症状が現れることもあります。

腹痛・膨満感などの関連症状

乳糖不耐症に伴う症状は下痢だけではなく、腹痛や膨満感、ガスがたまりやすいといった関連症状も多く見られます。
これらの症状は乳糖が腸内で消化されずに発酵する過程で発生するガスや酸によって引き起こされるため、特に多量の乳製品を摂取した場合に現れやすくなります。
こうした不快症状は日常生活に影響を与えることが多いため、症状の軽減を図るための対応が重要です。

乳糖不耐症の治療

乳糖不耐症の治療の基本は、乳糖を多く含む食品の摂取を制限することです。
牛乳やヨーグルト、チーズといった乳製品を控える他、症状に応じて代替ミルク（ラクトースフリーミルク）や乳糖が少ない製品を選ぶことが効果的です。
乳糖を分解する酵素製剤（ラクターゼ製剤）を服用することで乳製品の摂取後の症状を軽減できる場合もあります。
また、整腸剤を併用することで、腸内環境を整え、消化器症状の軽減に役立つこともあります。

乳糖を含む食品の摂取制限

乳糖不耐症による症状を防ぐためには、乳糖を含む食品の摂取制限が効果的です。
特に牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は乳糖を多く含むため、摂取量を減らすか、乳糖が少ない代替品を選びましょう。
摂取量に応じて症状の現れ方も異なるため、まずは少量から試し、自分に合った量を見極めることが大切です。

赤ちゃんへの代替ミルクの選び方

乳糖不耐症の赤ちゃんの場合、通常のミルクをそのまま飲むと下痢や腹痛が続くことがあるため、乳糖を含まない「ラクトースフリーミルク」や「低乳糖ミルク」に切り替えることが推奨されます。
これらの代替ミルクにはさまざまな種類があり、赤ちゃんの好みや体質に合ったものを選ぶことが大切です。
医師に相談しながら適切な代替ミルクを見つけ、栄養が不足しないよう配慮しましょう。

酵素製剤や乳糖フリー製品の活用

乳糖不耐症による下痢や不快症状を軽減するために、ラクターゼ製剤（酵素製剤）を使用する方法もあります。
これにより、乳製品の摂取後でも乳糖を分解しやすくなり、症状が軽減されることが期待できます。
また、市販の乳製品には乳糖が少ないものや、事前にラクターゼ処理された製品も多く出回っています。
これらをうまく活用することで、乳糖不耐症の方でも乳製品を楽しむことができます。

症状が長引く場合の医療機関受診

乳糖不耐症の症状が数日間続いたり、下痢が頻発する場合は、栄養不足や脱水症状が懸念されるため、医療機関を受診することが推奨されます。
特に、乳幼児や高齢者の場合は体力が低いため、早期の対応が重要です。
また、下痢に加えて血便や嘔吐が見られる場合、他の疾患の可能性もあるため、専門医の診断を受け、適切な治療を行いましょう。

家庭での食事の工夫

乳糖不耐症の人にとって、家庭での食事管理が重要です。
牛乳の代わりに豆乳やアーモンドミルクなどの代替品を使ったり、乳糖が分解されたヨーグルトを選ぶことで、症状の出現を抑えることができます。
また、チーズの摂取量を控えたり、乳製品を使わない離乳食レシピを工夫することで、安心して食事を楽しむことができます。
日常の食事から乳糖摂取量を管理し、症状を予防しましょう。

腸内環境を整える食生活

乳糖不耐症の症状を軽減するには、腸内環境を整えることも効果的です。
食物繊維を多く含む野菜や果物、乳酸菌が豊富な発酵食品などを意識して摂取し、腸内フローラを整えると腸の働きが向上し、消化機能が改善されやすくなります。
また、乳酸菌を含むヨーグルトも、乳糖が分解されたタイプを選ぶことで腸に優しい食生活を送ることができます。

家庭での記録と原因特定の重要性

乳糖不耐症の症状が現れやすいタイミングや摂取した乳製品の種類・量を記録しておくことは、症状の原因を特定するためにとても役立ちます。
食事日記や症状が現れた時間などをメモしておくことで、どの乳製品に対して反応しやすいかが把握しやすくなり、乳糖摂取量の調整がしやすくなります。
医師と相談する際にも、こうした記録が診断やアドバイスの参考になるため、日常的に記録をつけることをおすすめします。

まとめ

乳糖不耐症による下痢症は、乳糖を分解する酵素が不足することで引き起こされ、下痢や腹痛、膨満感などの消化器症状が見られる状態です。
適切な対応や日常的な工夫により、症状を軽減し、乳製品を楽しむことも可能です。
食事管理や酵素製剤の活用、腸内環境の改善などを実施し、快適な生活を送るために乳糖不耐症の症状をしっかりとケアしましょう。
自己判断に頼らず、症状が長引く場合には医療機関で診断を受け、適切な治療を受けることが大切です。