はしか(麻疹)

Measles

はしか(麻疹)の基礎知識|症状・治療・予防接種の重要性を徹底解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

はしか(麻疹)とは

はしか(麻疹)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症で、非常に感染力が強い病気です。発熱、全身の発疹、咳、鼻水、結膜炎が特徴的な症状として現れます。主に飛沫感染や空気感染で広がり、免疫を持たない人が感染するとほぼ100%発症するとされています。

はしかは、適切な予防接種が普及している地域では発生が減少していますが、ワクチン未接種の人が集まる場所では集団感染が発生することがあります。特に乳幼児や免疫が弱い人では重症化するリスクが高いため、早期の予防と対策が重要です。

はしかの原因ウイルスと感染経路

はしかの原因は麻疹ウイルスです。このウイルスはRNAウイルスの一種で、人から人へ飛沫や空気を介して感染します。以下が主な感染経路です。

  • 飛沫感染
    咳やくしゃみなどで放出されたウイルスが、近くの人に吸い込まれることで感染します。
  • 空気感染
    ウイルスは空気中で長時間浮遊するため、感染者がいなくなった後でもその場に残っているウイルスを吸い込むことで感染する場合があります。

麻疹ウイルスは非常に感染力が高く、免疫を持たない人が感染するとほぼ確実に発症します。ウイルスにさらされた際、感染を防ぐ唯一の手段は事前の予防接種です。

はしかの主な症状と経過

はしかの症状は、感染後約10〜14日の潜伏期間を経て現れます。主な症状と経過は以下の通りです。

1.前駆症状(カタル期)

  • 発熱(38〜39℃)、咳、鼻水、目の充血(結膜炎)など風邪に似た症状が現れます。
  • 発疹は3〜4日ほど続き、やがて色が薄くなり、かさぶたのようになる場合もあります。

2.発疹期

  • 高熱(39〜40℃)とともに、顔や首から始まる赤い発疹が全身に広がります。
  • 口の中に「コプリック斑」と呼ばれる白い斑点が現れることがあります。

3.回復期

  • 発熱が下がり、発疹も次第に消えていきます。
  • 体力が完全に回復するまでに1〜2週間かかることがあります。

発疹が消えた後も倦怠感が続くことがあり、完全な回復には時間がかかることがあります。

はしかの潜伏期間と感染力が強い時期

はしかの潜伏期間は10〜14日程度で、この間は症状が現れません。しかし、発症の数日前から感染力が強くなり、症状が出る直前から発疹が消えるまでの期間(約1週間)は特に注意が必要です。

感染力が強い時期:症状が現れる3〜5日前から発疹が消えた後の4日間まで。

この期間中、感染者が公共の場に出ると、多くの人に感染が広がる可能性があります。そのため、発疹が出る前の段階でも、感染予防策を講じることが重要です。

はしかが引き起こす合併症とリスク

はしかは一般的に自然回復する病気と考えられていますが、乳幼児や免疫が低下している人では、以下のような合併症が発生するリスクがあります。

  • 中耳炎
    はしかに伴う中耳の感染症で、耳の痛みや聞こえづらさが生じます。
  • 肺炎
    呼吸困難を伴う重篤な合併症で、特に免疫が低下している患者に多く見られます。
  • 脳炎
    非常にまれですが、命に関わる可能性のある合併症です。高熱や意識障害を引き起こします。
  • 妊婦への影響
    妊婦が感染すると早産や流産のリスクが高まるとされています。

これらの合併症を防ぐためにも、ワクチン接種による事前予防が不可欠です。

はしかの診断方法と医療機関での対応

はしかの診断は、症状と経過からある程度推測できますが、確定診断のためには検査が必要です。以下が一般的な診断の流れです。

  • 問診と視診
    医師は発熱、咳、鼻水、結膜炎などの症状や、発疹の広がり方を確認します。また、口の中に現れる「コプリック斑」がはしか特有の兆候であるため、これが見られるかどうかが診断の重要な手がかりとなります。
  • 血液検査
    麻疹ウイルスに対する抗体(IgM抗体)が増加しているかを確認します。この検査によって、麻疹ウイルス感染であることを確定します。

医療機関での対応:
はしかには特効薬がなく、治療は対症療法が中心となります。高熱が続く場合は解熱剤を使用し、脱水を防ぐために十分な水分補給が行われます。また、二次感染を防ぐため、安静に過ごすことが求められます。

はしかの治療法と自宅療養のポイント

はしかの治療は、体がウイルスと戦う力をサポートする対症療法が中心です。以下が一般的な治療と自宅での注意点です。

1. 対症療法

  • 発熱への対応
    解熱剤(アセトアミノフェンなど)が使用されますが、医師の指示に従うことが重要です。
  • 咳や喉の痛み
    湿度を保ち、呼吸器への負担を軽減します。

2. 自宅療養のポイント

  • 水分補給
    解熱剤(アセトアミノフェンなど)が使用されますが、医師の指示に従うことが重要です。
  • 栄養
    体力を回復させるため、消化の良い栄養価の高い食事を心がけます。
  • 安静
    十分な休養を取り、体力を消耗しないようにします。

感染拡大を防ぐため、症状が治まるまでは公共の場への外出を避けましょう。

はしかの予防法

はしかの感染を防ぐためには、予防接種が最も効果的です。また、日常生活での感染対策も併せて実践することが重要です。

1. 麻疹ワクチンの接種

麻疹ワクチンは、定期接種として1歳児と小学校入学前の2回接種が推奨されています。この接種により、ほぼ100%の予防効果が得られます。

2. 衛生管理

手洗いやアルコール消毒を徹底し、ウイルスが手から体内に侵入するのを防ぎます。
咳やくしゃみをする際はマスクやハンカチで口元を覆い、飛沫を広げないようにします。

3. 集団感染の回避

流行地域では人混みを避けることで、感染リスクを下げることができます。

麻疹ワクチンの重要性と接種タイミング

麻疹ワクチンは、はしかの感染を予防する最も効果的な方法です。日本では定期接種が制度化されており、以下のタイミングで接種が行われます。


  • 1回目
    生後12〜24か月
  • 2回目
    小学校入学前(5〜7歳)
  •                         

2回接種することで、高い予防効果が得られるだけでなく、免疫が長期間持続します。ワクチン接種率が低下すると集団免疫が失われるため、家庭や地域での接種の推進が大切です。

はしかと似た症状を持つ病気との違い

はしかの症状は、他の病気と似ていることがあり、診断を難しくする場合があります。以下の病気との違いを把握しておくことが重要です。


  • 風疹
    発疹や発熱が共通していますが、はしかの発疹は濃く、全身に広がります。一方、風疹の発疹は薄く、倦怠感が少ないのが特徴です。
  • インフルエンザ
    インフルエンザでも高熱や倦怠感が見られますが、発疹は現れません。
  • 川崎病
    発疹と発熱が見られる点では共通しますが、川崎病では手足の腫れやリンパ節の腫大が特徴的です。

正確な診断には医師の判断が必要ですので、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。

岩間こどもクリニックの麻疹予防接種と診療サポート

岩間こどもクリニックでは、麻疹ワクチンの接種を通じて感染予防に取り組んでいます。ワクチン接種のスケジュール管理や接種後のフォローアップにも対応しており、安心してご相談いただけます。

また、麻疹が疑われる症状が出た場合には、迅速に診断と治療を行い、患者さんとそのご家族の健康を守ります。麻疹に関するお悩みや予防策について、ぜひお気軽にご相談ください。

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