肺炎

pneumonia

肺炎の基礎知識|原因・症状・治療法から予防策まで徹底解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

肺炎とは

肺炎は、肺の中に炎症が起こる病気で、主に細菌やウイルス、真菌などの病原体が原因です。炎症が起こる部位は肺胞と呼ばれる空気の交換を行う部分で、これが炎症によって正常に機能しなくなると、酸素が十分に体内に取り込めなくなります。

肺炎は、誰にでも起こる可能性がありますが、特に高齢者や免疫力が低下している乳幼児では重症化するリスクが高くなります。この病気は、適切な治療を受ければ回復することがほとんどですが、放置すると命に関わることもあるため、早期の診断と治療が重要です。

肺炎の原因

肺炎はさまざまな病原体によって引き起こされますが、主に以下の4つに分類されます。


  • 細菌性肺炎
    最も一般的なタイプで、肺炎球菌やインフルエンザ菌が原因となります。細菌が気道から肺に侵入し、急性の炎症を引き起こします。
  • ウイルス性肺炎
    インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどのウイルスが原因です。症状が風邪に似ているため見過ごされることがありますが、重症化すると呼吸困難を引き起こします。
  • 真菌性肺炎
    カンジダやアスペルギルスなどの真菌が原因です。免疫力が極端に低下している患者に多く見られ、治療には抗真菌薬が必要です。
  • 誤嚥性肺炎
    食べ物や唾液、胃液が誤って気管に入ることで発症します。特に高齢者や嚥下機能が低下している人で発生しやすい病気です。

これらの原因を正確に特定することで、適切な治療を進めることが可能になります。

肺炎の主な症状

肺炎の症状は、病原体の種類や個人の健康状態によって異なりますが、一般的には以下の症状が見られます。


  • 発熱
    突然の高熱が出る場合が多いですが、高齢者では微熱や無熱の場合もあります。
  • 咳と痰
    初期は乾いた咳が特徴的ですが、進行すると黄色や緑色の痰が出ることがあります。
  • 息切れ
    肺の炎症により酸素の取り込みが妨げられるため、息切れや呼吸困難を感じることがあります。
  • 胸の痛み
    咳や深呼吸をしたときに胸に痛みを感じることがあります。特に胸膜炎を伴う場合には痛みが顕著です。
  • 全身の倦怠感
    強い疲労感が続き、日常生活が困難になることがあります。

これらの症状が見られる場合は、肺炎の可能性を疑い、早急に医療機関を受診することが必要です。

肺炎の診断方法

肺炎の診断には、患者の症状や病歴を詳しく確認することが第一歩です。医師はまず問診を通じて、発熱や咳、痰、息苦しさなどの症状について詳しく尋ねます。さらに、聴診器を用いて肺の音を確認し、「ラ音」と呼ばれる異常な音が聞こえないか調べます。

診断を確定するために、以下の検査が行われます。


  • 胸部X線撮影
    X線画像を用いて、肺の炎症や感染の有無を確認します。炎症の広がりや程度を視覚的に把握することができ、診断の基礎となります。
  • 血液検査
    血液中の白血球数やCRP値(炎症の指標)を調べることで、体内の炎症の有無や程度を確認します。
  • 痰の検査
    痰を採取し、顕微鏡や培養検査を行うことで、肺炎の原因となる細菌や真菌・ウイルスを特定します。これにより、適切な抗生物質や治療法を選択することができます。

これらの検査結果をもとに、医師は患者に最適な治療計画を立てます。

肺炎の治療法と治療期間

肺炎の治療は、原因となる病原体に応じて異なります。最も一般的な細菌性肺炎では、抗生物質が治療の基本となります。一方、ウイルス性肺炎では特効薬がない場合も多いため、対症療法が中心となります。

治療の期間は、肺炎の重症度や患者の健康状態によって異なります。軽症の場合は、抗生物質を5~7日間服用することで改善が見られることが一般的です。ただし、重症の場合や基礎疾患を持つ患者では、治療が数週間に及ぶこともあります。

重症化した場合や酸素飽和度が低下している場合には、入院治療が必要となることがあります。入院中は、酸素療法や点滴による抗生物質投与が行われるほか、栄養管理や全身の状態を整えるためのサポートも行われます。

肺炎の合併症

肺炎は適切に治療を受ければ通常は回復しますが、特に高齢者や免疫力が低下している方では、合併症を引き起こすリスクが高まります。以下は主な合併症です。

  • 胸膜炎
    肺を覆う胸膜に炎症が広がることで発症します。胸の痛みが顕著になり、深呼吸や咳をするたびに痛みを感じます。
  • 膿胸
    胸膜腔に膿がたまる状態です。通常の治療では改善が難しいため、外科的な処置が必要となることがあります。
  • 敗血症
    肺炎の病原体が血液中に広がることで全身に感染が及ぶ状態です。命に関わる可能性があるため、迅速な治療が求められます。

これらの合併症を防ぐためにも、肺炎は早期に適切な治療を受けることが重要です。

肺炎を防ぐためにできること

肺炎の予防には、日常生活での基本的な感染対策を徹底することが重要です。まず、手洗いやアルコール消毒を習慣化し、外出先や食事前に手を清潔に保つよう心がけます。また、風邪やインフルエンザが流行する季節にはマスクを着用し、飛沫感染を防ぐことが有効です。

栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動も免疫力を高め、感染リスクを下げる手助けになります。特に高齢者や基礎疾患を持つ方は、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンを接種することが推奨されています。これにより、感染リスクの軽減や重症化の予防が期待できます。

誤嚥性肺炎を予防するには、食事中の姿勢を正し、よく噛んでゆっくり飲み込む習慣をつけることも重要です。特に高齢者では口腔ケアを怠らないようにし、嚥下機能を保つためのリハビリを行うことも効果的です。

高齢者や子どもにおける肺炎のリスク

肺炎はどの年齢層でも発症する可能性がありますが、高齢者と子どもは特にリスクが高いとされています。高齢者は加齢による免疫力の低下や、基礎疾患の存在が肺炎の発症や重症化を引き起こす主な要因となります。一方で、乳幼児や未熟児では、発達途中の免疫システムが感染に対して十分に反応できないため、肺炎が命に関わる場合もあります。

高齢者では、特に誤嚥性肺炎のリスクが高まります。嚥下機能が低下すると、食べ物や唾液が気道に入りやすくなり、これが肺に炎症を引き起こします。また、体を動かす機会が少なくなることで、肺活量が減少し、呼吸器感染症にかかりやすくなることも一因です。

子どもでは、ウイルス性肺炎が多く見られます。特にインフルエンザやRSウイルスなどが原因となり、急速に症状が進行する場合があります。咳や発熱が続く場合は早めに医療機関を受診することが重要です。

肺炎と似た症状を持つ病気

肺炎は、咳や発熱、息切れなどの症状が特徴的ですが、これらの症状は他の呼吸器疾患とも共通しています。そのため、以下の病気との鑑別が必要になります。


  • 気管支炎
    肺炎と同様に咳や痰が見られますが、気管支炎では通常、胸部X線検査で肺に異常が見られないことが多いです。
  • 結核
    持続する咳や発熱が特徴ですが、結核では痰に血が混じる場合があります。結核菌の有無を確認するための特殊な検査が必要です。
  • 肺がん
    長期間続く咳や胸の痛み、血痰などの症状が見られます。胸部CT検査や組織検査で確定診断を行います。
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
    息切れが顕著で、長期にわたる喫煙歴が原因となることが多い病気です。

正確な診断を行うためには、医師による詳細な問診と検査が欠かせません。

肺炎の予後と回復後の生活で注意すべきこと

肺炎は適切な治療を受ければ回復することがほとんどですが、回復後も健康状態に注意を払うことが重要です。特に高齢者や基礎疾患を持つ人では、体力の回復に時間がかかることがあります。


  • 安静を保つ
    肺炎の治療が終わった後も、体は完全に回復していない可能性があります。無理な運動や過度な労働は控え、体を十分に休めることが大切です。
  • 再発防止
    肺炎が再発しないよう、免疫力を高める生活を心がけます。栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を日常的に取り入れましょう。
  • 定期検診の受診
    肺炎を経験した人は、定期的に医療機関を受診し、肺の状態を確認することが推奨されます。慢性の呼吸器疾患がある場合は特に重要です。
  • 禁煙の徹底
    喫煙は肺に負担をかけ、再発リスクを高める要因となります。肺炎を経験した人は禁煙を検討することを強くお勧めします。

回復後は日常生活に戻るまで焦らず、段階的に体調を整えていくことが大切です。

よくある質問と回答

肺炎は風邪やインフルエンザから進行することがありますか?
はい。風邪やインフルエンザが悪化すると肺炎を引き起こすことがあります。特に免疫力が低下している場合、症状が急速に進行することがあるため注意が必要です。
肺炎は人にうつりますか?
肺炎自体は感染しませんが、その原因となる細菌やウイルスは感染する可能性があります。特にインフルエンザやRSウイルスが原因の場合、感染防止策を徹底することが大切です。
肺炎球菌ワクチンは誰でも受けられますか?
はい。特に乳幼児と65歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ人には推奨されています。また、医師に相談して自分に適したワクチンを受けることが重要です。

岩間こどもクリニックの予防サポート

岩間こどもクリニックでは、肺炎の診断と治療だけでなく、予防に重点を置いたサポートを提供しています。肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種を行い、患者さんが安心して生活を送れるようお手伝いします。

また、回復後のフォローアップも充実しており、再発防止のための生活指導や定期的な健康チェックを通じて、健康維持をサポートします。気になる症状や予防策についてのご相談は、ぜひ岩間こどもクリニックまでお問い合わせください。

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