発疹

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発疹とは?子どもに多い原因と代表的な疾患・ケア方法を小児科医が詳しく解説

発疹とは?子どもに多く見られる理由

発疹とは皮膚に現れる赤みやブツブツ、痒みなどを伴う皮膚症状の総称です。子どもは免疫機能や皮膚のバリア機能が未熟であるため、感染症やアレルギー、外的刺激などによって発疹が出やすい傾向があります。特に乳幼児期には頻繁にみられ、軽症から重症まで幅広く、原因を見極めて適切なケアや治療が必要です。

子どもが発疹を起こした際の注意点

子どもに発疹が出た場合は以下の点に注意しましょう。


  • 発疹がある皮膚を強くこすったり掻かないように注意する。
  • 発疹部分を清潔に保ち、過度な保湿や刺激を避ける。
  • 発熱や元気の低下、他の症状が伴っていないか観察する。
  • 伝染性が疑われる場合は他の子どもとの接触を避け、早めに医療機関を受診する。

子どもが発疹を起こした際の家庭での対処法

家庭でできる基本的なケア方法は以下の通りです。


  • 発疹部位を清潔に保ち、優しく洗う。
  • 強い痒みがある場合は冷やしたタオルを当てて軽減させる。
  • 衣類は通気性のよい素材を選び、締め付けないものを着用させる。
  • 症状が悪化したり他の症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診する。

発疹を起こす代表的な疾患

  • 突発性発疹の特徴と原因
    突発性発疹は主に生後6か月~2歳頃の乳幼児に多い疾患で、ヒトヘルペスウイルス6型や7型が原因となります。高熱が3~4日続いた後、熱が下がった頃に体や顔に小さな赤い発疹が現れます。多くの場合自然に回復しますが、高熱時にけいれんを起こす場合もあり注意が必要です。
  • 蕁麻疹の特徴と原因
    蕁麻疹はアレルギー反応や外部刺激により皮膚に強い痒みを伴う盛り上がった発疹(膨疹)が出る疾患です。原因は食品、薬剤、寒冷、温熱、ストレスなど多岐に渡ります。症状は数時間から数日以内に消えることが多いですが、慢性化すると繰り返し発生します。抗アレルギー薬で症状を抑える治療が一般的です。
  • 水ぼうそう(水痘)の特徴と原因
    水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染症で、全身に水ぶくれ状の発疹が現れ、強い痒みを伴います。発熱や倦怠感も見られ、発疹は次第にかさぶたになり回復します。感染力が非常に強いため、ワクチン接種による予防が推奨されています。発症した場合は登園・登校を控え、完全にかさぶたになるまで感染拡大防止に努めましょう。特効薬がありますので、早期に医療機関の受診をおすすめいたします。

病院を受診する目安と救急車を呼ぶべきケース

以下の場合には早期に医療機関を受診してください。


  • 病院受診の目安
    ・発疹に伴って高熱や強い痒みが続く場合
    ・発疹が全身に広がったり症状が急激に悪化する場合
    ・発疹以外に呼吸困難や腹痛、嘔吐など他の症状がある場合
  • 救急車を呼ぶべきケース
    ・意識がぼんやりし、ぐったりとして反応が乏しい場合
    ・呼吸困難、顔面の腫れ、唇の青白さ(チアノーゼ)がある場合
    ・痙攣や激しい嘔吐が伴う場合

発疹後の家庭でのケアと過ごし方

発疹の症状が落ち着いた後も皮膚は敏感です。衣服は柔らかい綿素材を選び、肌を刺激しないよう注意しましょう。入浴時はぬるめのお湯を使用し、強く擦らず優しく洗います。症状が完全に治まるまでは肌の刺激を避け、こまめな水分補給と十分な休養を心がけましょう。

再発を防ぐための日常生活の注意点

発疹を防ぐために以下の予防法を徹底しましょう。


  • 日常的に手洗いや清潔な環境づくりを徹底する。
  • アレルゲンや刺激物を避け、子どもの皮膚を日頃から観察する。
  • 推奨される予防接種を必ず受ける(水ぼうそうなど)。
  • バランスの良い食事と十分な睡眠を確保し、免疫力を高める。

よくある質問

発疹がある時、入浴しても大丈夫ですか?
清潔を保つため軽くシャワーを浴びる程度なら可能ですが、強く擦らないよう注意しましょう。
蕁麻疹が頻繁に出ますが、治りますか?
多くは抗アレルギー薬でコントロールできますが、慢性的な場合は早めに医療機関で相談しましょう。
水ぼうそうのワクチンはいつ受ければいいですか?
生後12か月〜15か月頃に1回目、2回目はその後6か月〜12か月後に接種するのが標準的です。
突発性発疹は感染力がありますか?
発熱時期に感染力がありますが、発疹が出た時点で感染力はほぼなくなります。
発疹が出ても熱がない場合もありますか?
蕁麻疹や軽いアレルギー反応などでは発熱を伴わないことが多いです。
子どもの発疹を自己判断で市販薬で治療してもいいですか?
原因がはっきりしない場合は自己判断せず、医療機関の受診をおすすめします。
発疹は必ず痒みを伴いますか?
痒みを伴うことが多いですが、突発性発疹など痒みがない疾患もあります。
一度かかった水ぼうそうに再びかかることはありますか?
通常は免疫がつき再感染しませんが、まれに再発することがあります。

まとめ

子どもに見られる発疹は、日常的に多く見られる症状の一つですが、その原因や重症度は非常に幅広く、症状の現れ方もさまざまです。特に突発性発疹や蕁麻疹のように自然に回復することが多い疾患もあれば、水ぼうそうのように強い感染力を持ち、適切な隔離や予防が必要になる疾患もあります。また、発疹は感染症やアレルギー反応、時には重篤な病気の初期症状として現れることもあり、早期の適切な判断と対応が非常に重要です。

子どもの皮膚は大人よりも敏感で、早めに適切なケアを行わないと症状が悪化し、感染症や二次的な皮膚トラブルにつながることもあります。そのため、保護者の方は日頃から子どもの皮膚状態をよく観察し、発疹が現れた場合には症状の広がり方、持続期間、その他の症状の有無を慎重にチェックすることが大切です。

さらに、症状が軽い場合でも自己判断だけに頼らず、特に高熱やぐったりしている、呼吸困難などが見られた際には速やかに医療機関を受診することが重要です。また、予防として日頃から衛生管理や手洗い、推奨される予防接種の実施、栄養バランスの整った食生活や十分な休養で免疫力を高めることも有効です。

岩間こどもクリニックでは、お子さまの発疹に関して丁寧かつ的確な診断と、疾患に応じた具体的な治療法を提案し、家庭でのケア方法についても分かりやすくご説明しています。お子さまの健康と快適な日常生活を守るためには、家庭と医療機関が密に協力し、早期に適切な対応を取ることが何より大切です。

お子さまたちが元気で快適に過ごせるよう、皮膚の状態で気になることや心配な症状がございましたら、遠慮なくお気軽にご相談ください。私たちが子どもたちの健康とご家族の安心を全力でサポートいたします。

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