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ロタウイルス予防接種|接種時期・効果・副反応と注意点を徹底解説 - 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

ロタウイルスとは

ロタウイルスは、乳幼児を中心に感染しやすいウイルスで、重い下痢や嘔吐、発熱を引き起こす感染症です。特に生後6か月~2歳の乳幼児に多く見られ、症状がひどい場合は脱水症状を引き起こし、入院が必要になることもあります。

主な感染経路

  • 経口感染:ウイルスがついた手やおもちゃを口に入れて感染
  • 接触感染:感染者の便や嘔吐物に触れた手から感染

ロタウイルスは1度感染しても完全な免疫がつかないため、繰り返し感染することがありますが、初感染が最も重症化しやすいため注意が必要です。

ロタウイルス感染症の危険性と注意すべき症状

ロタウイルス感染症の主な症状は、次の通りです。


  • 激しい下痢(白っぽい水様便)
  • 嘔吐
  • 発熱(38~39度程度)
  • 食欲不振、元気がなくなる

  • 特に怖いのは、これらの症状が重なることで起こる脱水症状です。


  • 尿の量が減る
  • 口の中が乾燥する
  • ぐったりする
  • 顔色が悪い

ロタウイルス感染症は特効薬がなく、脱水予防のための経口補水や、症状を和らげる対症療法が中心になります。そのため、感染そのものを予防するロタウイルスワクチンの接種が非常に重要です。

ロタウイルス予防接種とは

ロタウイルスワクチンは、ロタウイルス感染を防ぐためのワクチンです。接種することで、ウイルスに対する免疫をつけ、感染した場合でも症状の重症化を防ぐ効果が期待されます。

予防接種の目的

  • 感染の重症化を防ぐ:激しい下痢や脱水症状を予防する。
  • 入院リスクを低減する:脱水が進むと入院治療が必要になるため、それを予防する。
  • 家庭内感染のリスクを抑える:ワクチン接種によって家庭内での感染拡大を防ぎます。

ロタウイルスワクチンの種類と特徴

ロタウイルスワクチンには、2種類の経口生ワクチンがあります。どちらも口から飲むタイプのワクチンです。

ロタリックス

  • 接種回数:2回
  • 概要:5種類のウイルス株を使用

ロタテック

  • 接種回数:3回
  • 概要:5種類のウイルス株を使用

どちらを選ぶべき?

ワクチンの種類は医療機関によって異なります。どちらも効果に大きな差はないため、医師と相談しながら選ぶと良いでしょう。
接種回数が異なるため、スケジュール管理に注意が必要です。

ロタウイルスワクチンの接種時期とスケジュール

ロタウイルスワクチンは、生後早い時期から接種を開始することが重要です。接種時期とスケジュールは以下の通りです。

接種時期

  • ロタリックス:生後6週から接種開始、4週間隔で2回接種
  • ロタテック:生後6週から接種開始、4週間隔で3回接種

接種の締め切り

最初の接種は 生後14週6日まで に行う必要があります。
すべての接種は 生後24週(ロタリックス)または32週(ロタテック) までに完了しなければなりません。

ロタウイルスワクチンの効果と予防の仕組み

ロタウイルスワクチンは、弱毒化したロタウイルスを体内に取り入れることで、免疫を作り出します。

感染の重症化を防ぐ

ロタウイルスワクチンを接種することで、発症した場合の重症化のリスクを大幅に下げることができます。

高い予防効果

  • 重症化予防:約90%以上の予防効果が報告されています。
  • 入院リスク低減:ワクチン接種により、ロタウイルス感染症による入院率が大幅に減少します。

集団免疫の確保

ワクチン接種が広まることで、家庭や地域社会での感染拡大を抑える効果も期待されます。

ロタウイルスワクチン接種後に見られる副反応

ロタウイルスワクチンは安全性が高いワクチンですが、まれに以下の副反応が見られることがあります。

軽度な副反応

  • 下痢や嘔吐:接種後、軽い下痢や嘔吐が見られることがあります。
  • 発熱:接種後に微熱が出ることがありますが、通常は数日で治まります。

重度な副反応(ごくまれ)

  • 腸重積症:腸の一部が別の部分に入り込んでしまう病気です。
  • 症状:激しい泣き方、嘔吐、血便
  • 注意すべき時期:接種後1週間以内が多いため、異変があればすぐに受診しましょう。

ロタウイルスワクチン接種後の注意点と家庭でのケア

ロタウイルスワクチン接種後は、日常生活でいくつか注意すべき点があります。副反応や体調の変化に気をつけながら、安心して過ごすためのポイントを確認しましょう。

接種後の過ごし方

接種後、以下のような反応が見られることがあります。


  • 安静に過ごす:接種当日は激しい運動や長時間の外出を避け、ゆっくり過ごすようにしましょう。
  • 飲食の注意:ワクチン接種は経口接種のため、接種後30分程度は授乳や食事を控えると良いとされています。
  • 吐き戻しの確認:赤ちゃんが接種後に吐き戻すことがありますが、ワクチンの効果には影響しません。心配な場合は医師に相談しましょう。

接種後の副反応への対応

極めてまれに、次のような重い副反応が報告されています。


  • 下痢や嘔吐:軽い下痢や吐き戻しが起こることがありますが、多くの場合は数日で治まります。水分補給をこまめに行い、脱水症状を防ぎましょう。
  • 発熱:微熱が出る場合は、体温を測りながら様子を見ます。ぐったりしている場合は早めに医療機関を受診してください。
  • 腸重積症のサイン:ごく稀ですが、接種後1週間以内に腸重積症が起こることがあります。次の症状が見られたらすぐに受診しましょう。

    ・腹痛のため激しく泣く(腹痛は間欠的に起こることが多い)
    ・嘔吐が繰り返される
    ・血便が出る
    ・ぐったりして元気がない

接種後の排泄物への注意

ロタウイルスワクチンは生ワクチンであるため、接種後1週間ほどは赤ちゃんの便にウイルスが排出されることがあります。


  • おむつ替え時の注意: 手袋を使用したり、おむつ交換後にしっかり手洗いを行いましょう。
  • 家庭内感染の予防: 特に兄弟や高齢者がいる家庭では、排泄物の取り扱いに気をつけることで家庭内感染を防げます。

ロタウイルス感染症の予防法|家庭での衛生管理

ワクチン接種は最も効果的な予防手段ですが、日常生活でも感染拡大を防ぐために衛生管理を徹底しましょう。

手洗いの徹底

ロタウイルスは手指を介して感染するため、以下のポイントを意識して手洗いを行います。


  • 食事の前後
  • おむつ交換やトイレの後
  • 外出から帰宅した後

石けんと流水を使い、指先や爪の間までしっかり洗うことが重要です。

おもちゃや家具の消毒

赤ちゃんが触れるおもちゃや家具、床は定期的に消毒しましょう。


  • 消毒方法: 次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)を薄めた液で拭き取ると効果的です。
  • 口に入れやすいおもちゃ: 使用後に熱湯消毒を行うとより安心です。

衣類やタオルの管理

おむつ替え後の衣類やタオルは、他の洗濯物と分けて洗濯しましょう。
高温でしっかり乾燥させることでウイルスを不活化できます。

よくある質問

ロタウイルスワクチンは定期接種ですか?
はい、ロタウイルスワクチンは2020年10月から定期接種となりました。対象となる赤ちゃんは、公費で無料接種を受けることができます。定期接種のため、対象期間内に接種を完了することが大切です。

ロタリックス:生後24週までに2回接種
ロタテック:生後32週までに3回接種

接種が遅れそうな場合は、早めに医療機関に相談し、スケジュールを調整しましょう。
ワクチン接種後に吐き戻してしまった場合、再接種は必要ですか?
いいえ、吐き戻した場合でも再接種の必要はありません。ロタウイルスワクチンは口から飲むタイプのワクチンですが、一部が体内に吸収されていれば効果が得られます。心配な場合は医師に確認しましょう。
ロタウイルスワクチンは他のワクチンと同時接種できますか?
はい、ロタウイルスワクチンは他の定期予防接種(B型肝炎、五種混合、肺炎球菌ワクチンなど)と同時接種が可能です。複数の予防接種を同時に受けることで、スケジュール管理がしやすくなり、通院回数も減らすことができます。
ロタウイルスワクチン接種後に腸重積症のリスクはありますか?
腸重積症はまれな副反応として報告されていますが、発生頻度は極めて低く、安全性が確立されているワクチンです。接種後、以下の症状が現れた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

・激しく泣く
・嘔吐を繰り返す
・血便が出る
・ぐったりして元気がない

腸重積症は接種後1週間以内に起こりやすいため、この期間は特に注意して赤ちゃんの様子を見守りましょう。
ロタウイルスワクチンは何歳まで接種できますか?
ロタウイルスワクチンは、生後早い時期に接種を開始し、期限内に完了する必要があります。

ロタリックス: 生後24週0日まで
ロタテック: 生後32週0日まで

これ以降の接種は推奨されていないため、期限内に確実に接種を受けることが大切です。

岩間こどもクリニックのロタウイルス予防接種サポート

岩間こどもクリニックでは、ロタウイルスワクチン接種を安心して受けられるよう、次のサポートを行っています。


  • 丁寧な事前説明:接種前にワクチンの効果や副反応、接種スケジュールについて丁寧に説明し、保護者の疑問や不安を解消します。
  • 安全な接種体制:経験豊富な小児科医とスタッフが、お子さまの健康状態を確認したうえで接種を行います。
  • 接種後のフォローアップ:接種後の経過や副反応への対応方法についてしっかりサポートします。何か気になる症状があれば、いつでもご相談いただけます。

まとめ

ロタウイルスは乳幼児がかかりやすく、重症化しやすい感染症ですが、ロタウイルスワクチン接種によってそのリスクを大幅に下げることができます。


  • 接種時期:生後6週から開始し、ロタリックスは2回、ロタテックは3回接種します。
  • 効果:感染の重症化を防ぎ、入院リスクを低減します。
  • 副反応:軽度な下痢や嘔吐が見られることがありますが、腸重積症の症状には注意が必要です。

岩間こどもクリニックでは、ロタウイルスワクチン接種を通じてお子さまの健康をサポートいたします。気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

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