溶連菌

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溶連菌感染症の基礎知識|原因・症状・治療法から予防策まで徹底解説- 岩間こどもクリニック(小児科・アレルギー科)

溶連菌感染症とは

溶連菌感染症は、溶血性連鎖球菌(溶連菌)と呼ばれる細菌によって引き起こされる感染症です。特に喉に感染する「咽頭炎」や「扁桃炎」として知られ、乳幼児や小学生の間でよく見られる病気です。

この病気の特徴は、発熱や喉の痛みを伴う急性症状と、適切な治療を受けることで短期間で回復する点です。ただし、まれに重篤な合併症を引き起こすことがあるため、早期診断と適切な治療が重要です。

溶連菌の原因となる細菌と感染経路

溶連菌感染症の原因菌は、A群溶血性連鎖球菌(Group A Streptococcus)という細菌です。この細菌は非常に感染力が強く、以下のような経路で人から人へと感染します。


  • 飛沫感染
    咳やくしゃみを介して放出された飛沫を吸い込むことで感染します。
  • 接触感染
    感染者が触れた物や表面に付着した菌に触れ、その手を介して口や鼻に菌が侵入することで感染します。

特に、幼稚園や学校などの集団生活の場では、感染が広がりやすい環境が整っています。そのため、予防策として手洗いや消毒の徹底が重要です。

溶連菌感染症の主な症状

溶連菌感染症の症状は、感染した部位や患者の年齢によって異なる場合がありますが、以下のような症状が一般的です。


  • 喉の痛み
    喉が赤く腫れ、扁桃腺に膿が見られることがあります。
  • 発熱
    突然の高熱(38〜39度)が数日間続くことがあります。
  • 発疹
    一部の患者では、体に赤い細かい発疹が現れる場合があります。
  • 舌の変化
    舌がいちごのように赤くなる「イチゴ舌」が特徴的な症状です。

これらの症状が見られた場合、早めに医療機関を受診することが推奨されます。

溶連菌感染症が疑われる場合の診断方法

溶連菌感染症は、問診や視診に加えて、迅速抗原検査や細菌培養検査で診断されます。


  • 迅速抗原検査
    喉の粘膜を綿棒で採取し、数分で結果が出る検査です。精度が高く、診断に広く使用されています。
  • 細菌培養検査
    詳細な結果が必要な場合に行われます。結果が出るまでに数日かかりますが、溶連菌の有無や抗生物質に対する感受性を確認できます。

これらの検査により、適切な治療方針が決定されます。

溶連菌感染症は大人にも感染するのか

溶連菌感染症は子どもに多い病気ですが、大人にも感染する可能性があります。特に免疫力が低下している場合や、子どもから感染を受けた場合に発症することがあります。

大人の場合、症状が子どもよりも軽くなることが多い一方で、喉の痛みや発熱が長引くケースもあります。適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。

溶連菌感染症の治療方法

溶連菌感染症の治療には、抗生物質が用いられます。ペニシリン系またはセフェム系の抗生物質が一般的で、服用期間は通常10日間程度です。この治療により、症状の早期改善と感染の広がりを防ぐことができます。

抗生物質の服用を途中でやめると、症状が再発したり合併症のリスクが高まる可能性があるため、医師の指示通りに服用を続けることが重要です。

家庭での対処法

溶連菌感染症にかかった場合、家庭での適切なケアが回復を早める助けになります。最も重要なのは、体力を回復させるための十分な休養です。特に発熱が続いている間は無理をさせず、静かな環境で安静に過ごさせましょう。

水分補給も欠かせません。高熱や喉の痛みによって食欲が落ちることが多いため、スープやゼリー、スポーツドリンクなど、飲みやすく栄養を補えるものを与えると良いでしょう。

喉の痛みを和らげるためには、温かい飲み物や加湿器を使用して喉を潤すことが効果的です。また、解熱剤や鎮痛剤は、医師の指示に従って使用してください。

家庭内での感染拡大を防ぐため、タオルや食器を共有しないこと、こまめに手を洗うことも重要です。特に、家族内に小さな子どもや高齢者がいる場合、感染防止の対策を徹底しましょう。

潜伏期間と感染力が強い期間

溶連菌感染症の潜伏期間は1〜5日程度です。この間に症状が現れなくても感染が広がることがあるため、注意が必要です。

感染力が特に強いのは、発症してから抗生物質の治療を開始するまでの期間です。ただし、適切な治療を開始した場合、24時間以内に感染力がほぼなくなるとされています。このため、早期診断と治療が感染拡大を防ぐ鍵となります。

溶連菌感染症の合併症

溶連菌感染症は適切に治療すれば通常は軽症で済みますが、治療が不十分な場合や放置された場合には、以下のような合併症を引き起こすことがあります。


  • リウマチ熱
    溶連菌感染後にまれに発生する自己免疫疾患で、関節や心臓に影響を与える可能性があります。
  • 腎炎
    溶連菌感染に伴う腎臓の炎症で、血尿やタンパク尿むくみ、高血圧を引き起こすことがあります。
  • 中耳炎や副鼻腔炎
    耳や鼻の粘膜に感染が広がることによって起こります。

これらの合併症を防ぐためには、抗生物質の指示通りの服用が欠かせません。

溶連菌感染症にかかった場合の登校や登園のタイミング

溶連菌感染症にかかった場合、治療開始後24〜48時間が経過し、発熱がなく、全身の症状が改善していれば登校や登園が可能です。ただし、発熱や喉の痛みが残っている場合は、無理をさせずに引き続き休ませることが大切です。

感染拡大を防ぐため、治療が完了しても引き続き手洗いや咳エチケットを徹底するよう子どもに指導しましょう。また、登園や登校のタイミングについては、学校や保育園の方針に従うことをおすすめします。

溶連菌感染症の予防策

溶連菌感染症の予防には、基本的な衛生対策が効果的です。以下のポイントを日常生活に取り入れることが大切です。


  • 正しい手洗い
    外出後や食事前、トイレの後には、石鹸を使ってしっかりと手を洗う習慣をつけましょう。
  • 咳エチケットの徹底
    咳やくしゃみをする際には、ティッシュや腕の内側で口を覆い、飛沫を防ぎます。
  • 共有物を避ける
    感染者が触れた物は消毒し、タオルや食器は別々に使用することを心がけましょう。
  • 免疫力を高める生活
    バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を維持することも感染予防に役立ちます。

溶連菌感染症と似た症状を持つ病気の見分け方

溶連菌感染症と似た症状を持つ病気には、以下のようなものがあります。


  • ウイルス性咽頭炎
    ウイルス感染による喉の炎症で、抗生物質が効果を示さない点が溶連菌感染症と異なります。
  • 伝染性単核球症
    喉の痛みや発熱が特徴的ですが、溶連菌感染症と異なり、長引く疲労感やリンパ節の腫れが見られます。
  • 猩紅熱以外の発疹を伴う病気
    風疹や麻疹は発疹を伴いますが、それぞれの経過や症状が異なるため、医師の診断が必要です。

正確な診断には医療機関での検査が不可欠です。

溶連菌感染症に関するよくある質問と回答

溶連菌感染症は何回でもかかるのでしょうか?
はい。溶連菌には複数の型があるため、異なる型に再感染する可能性があります。
自宅で自然治癒を待つのは危険ですか?
自然治癒を待つと合併症のリスクが高まるため、抗生物質による治療が必須です。
子どもが溶連菌にかかった場合、大人も感染しますか?
はい。大人も感染する可能性があります。特に免疫力が低下している場合は注意が必要です。

岩間こどもクリニックの溶連菌感染症診療とサポート

岩間こどもクリニックでは、溶連菌感染症の迅速な診断と治療を提供しています。抗原検査を行い短時間で確定診断をして、適切な抗生物質の処方を行います。また、合併症のリスクや家庭でのケアについても丁寧に説明します。
さらに、再感染予防のための衛生指導や日常生活のアドバイスも実施しています。不安な症状が見られる場合は、ぜひ岩間こどもクリニックにご相談ください。

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